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内容説明
大阪と聞いて何を思いうかべるだろうか? 芸人顔負けのおばちゃん、アンチ巨人の熱狂的阪神ファン、“金もうけとど根性”の商売人……しかしそれらは東京のメディアが誇張し、大阪側も話を盛ってひろがった、つくられた大阪的イメージだ。「おもろいおばはん」の登場は予算のない在阪テレビ局が素人出演番組を安く量産した結果だし、阪神戦のテレビ中継がまだない一九六〇年代、甲子園球場は対巨人戦以外ガラガラだった。ドケチな印象はテレビドラマが植えつけたもので、「がめつい」は本来、大阪言葉ではなかった。多面的な視点から、紋切型の大阪像をくつがえす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
383
京都人の井上章一があつく語る大阪への熱烈応援歌。もっとも洛中人からすれば、嵯峨が京都やなんておこがましいわと言うかもしれないが。今回、井上がとった方法は歴史的考察による大阪の検証。トリビア的なところも多く、往年の井上のanthropologistとしての切れ味はもはや望めないが、それでもまだまだ健在であることを証てもいる。へえ、そうだったのかと思うようなことも多々ある。あるいは積年の疑問(例えば阪神間の山手の最上流階級が関西方言ではなく、共通語を話すことなど)に対する井上なりの解答が示されていたり。2020/02/19
大阪魂
53
「京都嫌い」の井上さん、今度は大阪分析!もともと大阪て船場中心に天下の台所で全国の文化中心やったけど、工業地帯なって芦屋とかに大金持ちが移り、東京一極集中で大阪メディアが低予算化してしもて素人のおもろいおばちゃんとかエロとか粉もんイメージが浸透してったってお話。そのイメージづくりも東京メディア絡んでたゆーのも納得!エロの象徴?阿倍野スキャンダルとか単語きいたことあるけどノーパン喫茶でオイドナルドとか売りやったゆーの初めて知ったし、宝塚も大フィルもロシア亡命音楽家のお蔭ゆーのも初耳!ネタは山盛りやったわー!2023/10/19
HMax
47
今ある大阪のイメージは、東京の学者やマスメディアによって、貶められた形に作り上げられた。多くの実例を挙げて証明する。弥生→古墳→飛鳥→奈良、古墳時代以外は土地の名前、どうして古墳時代は河内時代と地名にしないのか?安土桃山時代、織田信長の安土城、豊臣秀吉は大阪城、安土大阪時代が自然では?強いて言っても安土伏見時代。等々。東京一極集中の弊害は目に余るものがある。日本の再生に向けて、地方再生が急務。ホルモン焼き:豚の臓物などを焼いたもの。broiled pig innards。正しくは「牛」の臓物など。2019/04/21
つちのこ
38
京都人の著者の大阪に対する思い入れは感じるが、最後までその立ち位置が分からなかった。あとがきで大阪の品が悪い部分をとりあげ、面白おかしく揶揄するのはやめてもらいたいといいつつ、文中ではその部分をしつこく取り上げているのはなぜか。そもそもタイトルからして「おもろいおばはん」はこうしてつくられた…なのだから。私の亡母は大阪出身だったが、周りの人たちも含めて“おもろいおばはん”はいなかったと思う。大阪のイメージを下衆な方向に固定化してしまったメディアの責任は重い。ついでに、平仮名多用の文章も読み難くかった。2022/02/04
クラムボン
37
大阪のことは以前は全く興味が無かった。それは観光地として魅力があるとは思えなかったからだが…。ただ最近アジア系の観光客が大挙して大阪に押し寄せている。一体何が魅力なのか? 大阪人は日本では珍しい程人懐っこく、人との距離が近いことが関係あるのか。ただこの本を読んだのは、そんなこととは関係なく「京都ぎらい」が面白かったから。今度は大阪の悪口が聞けるかと内心期待していましたが、全く反対でした。これは関西人の著者の東京何するものぞ! 大阪賛歌の書であり、東京人に対する嫌味の書でもありました。2022/04/24