内容説明
荒れ狂う時代を怒涛のごとく駆け抜け、夢半ばで業火の中にその役割を終えた稀代の武将・織田信長。果たして彼は、反抗するものを根絶やしに追い込んだ魔性の権化だったのか、それとも、民のため、理想の世を切り拓くために命を賭した名将だったのか。没後四百年を経た今、日本史上最も謎多き男の内面的核心に、気鋭の歴史作家が横溢する気迫で挑んだ傑作長篇書き下ろし。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
巨峰
69
信長の苦しみを本当にわかっていたのは光秀だったという設定。小説ならではだと思うけど、この信長は結構好きだ。信長というのは人を抜擢しては裏切られの連続なんですよね。2019/05/29
ren5000
36
割と斬新な実は心優しい信長像だけど歴史的に長政に対する接し方はなんか腑に落ちる気がしてそこから一気に苛烈になっていったように記憶しています。光秀の謀反の真相はこの物語的にはわかるけどなんかちょっと納得できない部分もあるなぁ。2019/01/12
naginoha
34
垣根涼介さんの「信長の原理」がツボにはまって、他の信長像にも触れてみたくなり、この作品を手に取りました。 信長を一人称に据え、彼の葛藤、悩みなんかを細かく描写していく姿勢は私好みです。ただ、その路線で行くならもっともっと細かく書き込んでほしかったなあと思う。信長がとった数々の行いについて、何故そうしたのか現代人である我々にも納得がいくくらいに。 2.5/52020/03/29
まみ〜
18
織田信長の姿を、桶狭間から本能寺まで描く📖吉川先生が描くと、信長公はこうなるんですね💡優しさがあり、優しいが故の苦悩もあり、自分を抑えてまでも「平穏」を求めた信長公がいました💡光秀とのやり取りも良かったし、安土城を百姓たちに解放して(入城料は取ってましたが(笑))いた描写も良かったです😊 2018/12/14
ophiuchi
18
吉川永靑の手になる信長記。信長ほど多くの作家に書かれてきた戦国武将は他にいないように思うが、信長による一人称で通されたこれは、主だった戦における信長の心の動きに焦点を絞っていて、びっくりするほどコンパクトにまとまっているのに、読み応えは十分だった。光秀が魅力的に書かれているのも良かった。2018/11/17