ガザに地下鉄が走る日

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ガザに地下鉄が走る日

  • 著者名:岡真理
  • 価格 ¥3,520(本体¥3,200)
  • みすず書房(2018/12発売)
  • ポイント 32pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784622087472
  • NDC分類:302.285

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内容説明

完全封鎖から十年以上経つガザ地区は、現代の強制収容所と言われる。生きながらの死を強いる占領という暴力と、そこでなお人間的に生きる人びととの出会いを伝える。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

141
フランスのヴィシーで二週間ほど語学学校に通っていた時、20人近くいるクラスのうち10名以上がパレスチナからの人だった。フランス政府のプログラムによるもの。それ以来、パレスチナの問題は常に追いかけている。彼らの全員が無事であってくれとずっと願っている。著者がここで書くことは、随分と主観的で散文的だなと思ったら、エッセイだったのか。そういう意味でまとまりにかけるからパレスチナ問題を一から知るには読みにくいかもしれない。彼女の活動には、頭が下がります。2019/08/26

buchipanda3

116
中東パレスチナの人々の声と置かれた姿を綴ったエッセイ。それは紛争中ではなく、平時(と言っても常に危険が伴う状態)の姿。それは祖国を追われ、逃れた異国や押し込められた地区で人間として生活する権利を奪われた七十年の積み重なった姿だった。しかしその苦しみは紛争時以外は注目されない。そのことに胸を突かれた思いがした。彼らの人間性を意図的に否定する非道な暴力が続く中、自らのその瞬間の生を享受することで抵抗を示す者たちの姿が印象深い。終章で語られる虚構の地下鉄路線図のアート作品が本当に実現することを望んでやまない。2023/11/01

しいたけ

80
抑えた筆致で事実を浮き彫りにしている。それでもパレスチナとの関わりが長い著者ゆえに、地中の炎を思わせる怒りが垣間見えるときがある。国民国家と国民国家の空隙「ノーマンズランド」。法も人権も及ばない国を持たざる者は「人間」ではないと繰り返される。ガザにも人が暮らす日常があること。その日常が未来へと繋がらないことも含めた閉塞感。人が造る世界は楽園とは程遠い。遺体を置く冷蔵室が満杯でアイスクリームのショーケースに安置されていたという幼いきょうだいの写真の記述が応えた。2023/10/28

どんぐり

70
現代アラブ文学、パレスチナ問題、第三世界フェミニズム思想を専門とする著者のエッセイ。1948年5月14日、「ユダヤ国家」のイスラエル建国に伴う民族浄化で故郷を追われたパレスチナ人。70年を経たいま、イスラエル占領下で国民でも市民でもなく「ただ人間でしかない者」(ノーマン)がどう生きてきたか。難民テントがバラックに置き換わり、バラックがブロックの家となって2階、3階、4階へと経年変化で積み重なっていく。ガザが完全封鎖されて10年、生活電気も通じない場所に追いやられたパレスチナ人は、仕事もなく、未来に何の希望2019/01/20

pohcho

68
長年パレスチナ問題に関わってきた著者の本。2018年の出版だが(その当時でさえ)ガザに暮らす人々が想像を絶するような悲惨な状況にあることがよくわかる。この本を読み、まさに今、起きている戦争について、自分があまりに無知だったことを知って愕然とする。あれは決して戦争などではなく、一方的な大量虐殺、あるいは新型兵器を世界に見せるためのショー。なぜこんなひどいことが許されるのかと思う。何もわかっていなかった自分を叱りたい。戦争という名の虐殺が一日でも早く終わりますように・・。一人でも多くの人に読んでほしい一冊。2024/01/17

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