内容説明
サラリーマン・鈴木、地上最強のリアリティ・ショーに挑む。人類は、地球に穴を貫けるのか?日本―ブラジル間・直線ルート開発計画が今、始まる。選考委員驚愕の第55回文藝賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
109
斎藤美奈子さんの「これぞ文科系の土木小説!」とのコピーに惹かれて読むが、ちょっと違う感じ。地面に鉛直の穴をあけて「日本―ブラジル間直線ルート開発」という秘密プロジェクトが実現する物語。全くもって荒唐無稽な小説なのだが、現代社会に照らして読むと意味深である。水平の穴(リニア新幹線)のバカさ加減は、鉛直の穴とどう違うのだろうか。掘った穴をどう使うかは後から考えるとして、建設だけが進捗する公共事業。二階級特進のエサで、穴に飛び込む危険を冒す社員を指名する会社の冷酷。滑稽さの中に潜むブラックユーモアにハッとする。2023/06/14
J D
76
シュールだなぁー!先日、福岡で職場のOGとお会いし、その時に勧められた作品がコレ。日本から穴を掘ってブラジルへ開通させるという、「えっ?そんなの無理なの小学生でもわかるやん!!」というのを極めて冷静に真摯に描き切ったのがこの作品。戦後から現代まで繋がる壮大な物語。作者は、この作品で何を伝えたかったのだろう。鈴木帰ってきてくれ!二階級特進で課長補佐へ。一気に読ませる力強さがあった。不思議な読書体験だった。不思議ワールドを味わいたい方はどうぞ手にとってみてください。2024/11/25
Willie the Wildcat
74
底の見えない穴。目的も紆余曲折する中での大義。ムリ・ムダ・ムラの先に見えるモノとは何か?私自身のお過去を告白すれば、「穴を掘り続けたらどこに辿り着くだろう?」って、幼稚園くらいに砂場で試した記憶アリ。無論、成果無し。でも科学じゃないんだよなぁ。一方、主人公の一途さは、一つ間違うと、先の大戦下の集団主義の匂いともなる。示唆する”穴”の数々。但し、逃げる、隠れるためといった後ろ向きな思考から、環境問題改善など前向きな思考への転換が、骨格という感。故の「満天の星」ではなかろうか。意味深な終わり方だなぁー。2019/04/14
キク
66
東大文学部から同大学院人文系修士までいったエリート文系が書いた「いつか深い穴に落ちるまで」という小説の「深い穴」って絶望の暗喩だと、普通思いますよね?少なくても、僕は思いました。でも、終戦直後から続く極秘国家プロジェクトである「日本ーブラジル間・直線ルート開発計画」という地球に竪穴を建設する、ゼネコン的発想のタイトルだった。主人公はプロジェクトの広報担当。どことなくシュールで、クスッと笑えるのに、なぜかそこはかとなく切ない。文学的な深みはないけど、バカリのコントのような上品な味わいがあって、わりと好きです2023/04/04
オーウェン
60
突拍子もないアイデアである。 日本の反対側から穴を掘ればブラジルに辿り着ける。 理由は飛行機で行くより速いから。 もちろんこんなことできるわけがないのだが、これはある種のファンタジーとして捉えることもできる。 山本から引き継いだ鈴木が事業を進めていき、遂には穴が貫通する。 ラストの描写はちょっと逃げのようにも思うが、こういうぶっ飛んだ中身のお仕事小説というのも有りかなと思う。2022/01/13
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