内容説明
時代を先取りした「見えすぎる目」がもたらした悲劇。自らの末期を意識した凄絶な心象が描かれた遺稿「歯車」「或阿呆の一生」、最後の評論「西方の人」、箴言集「侏儒の言葉」ほか最晩年の作品を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
69
昭和の作品、芥川「晩年」の作品が収録された一冊。「或阿呆の一生」や「侏儒の言葉」といった名高い作品も収録されているが、個人的には「歯車」を始めとして「夢」や「凶」、「鵠沼雑記」といった当時の芥川の精神風景を映したような作品に興味を覚える。どの作品も荒涼で鬱々としていて、冬の海岸で荒れる海と曇り空を眺めているような心地もする。偶然が予兆に感じられる時って時々ありますよね。名高い「ぼんやりとした不安」で知られる「或旧友へ送る手記」を読むとあまりに冷静すぎると同時に、剃刀は切れすぎるが脆いという言葉を思い出す。2020/03/12
優希
54
芥川最晩年の短編集です。そのせいか、随所で陰鬱な空気を感じずにはいられませんでした。小説のみならず、箴言集、手紙などがおさめられているのは興味深いところです。2022/04/12
優希
47
芥川自殺直前の頃に書かれた作品なだけあり、自己嫌悪と希死観念を伺うことができます。この負の感情にひきつけられるんですよね。鬱にどっぷり浸かるのもまた心地良いものです。2023/03/20
優希
43
芥川の最晩年の短編集になります。だからか随所に陰鬱な空気が漂い、心配になってしまいます。小説以外にも箴言集、手紙などが読めるのが興味深かったです。鬱にどっぷり浸かるのも心地よいですね。2025/11/09
ゲオルギオ・ハーン
26
芥川龍之介の最後期にあたる作品群をまとめた一冊。確かに陰鬱な印象が所々にありますが、理性的で洞察力は鋭く、鋭いだけではなく独特の世界観が『侏儒の言葉』『或阿呆の一生』『西方の人』で表現されていて、これまでなんだか引っ掛かっていた芥川先生の表現の裏を少し覗けたような気がしてなんだか気分がスッとしました。個人的には女っ気のない作品ばかりの印象があったので女性モデルとのやり取りがメインの『夢』は読んでいて驚きましたし、変な表現ですが芥川先生の人間味をようやく感じ取れた気がしました。2021/08/04
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