岩波文庫<br> ゴルギアス

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岩波文庫
ゴルギアス

  • 著者名:プラトン/加来彰俊
  • 価格 ¥1,111(本体¥1,010)
  • 岩波書店(2018/11発売)
  • ポイント 10pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784003360125

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内容説明

ソクラテスと三人の人物との対話は,弁論術が立身栄達の術とされている現実や若い人の実利主義的道徳意識などを次々と明るみに出す.プラトンは本編によって,個人の道徳と同時に政治の問題を追求し,アテナイの現実の政治に痛烈な批判を投げかけた.後に『国家』において発展させられた哲人政治の思想の第一歩である.

目次

目  次
   凡  例

 ゴルギアス
   解  説
   訳 者 注

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

のっち♬

130
序盤は弁論術や正義の本質に迫る。快楽主義者が提起する"快即善"への反駁はソクラテスの鉄板ともいうべき帰謬法の間接証明で、これに則った弁論術批判の観点も『パイドロス』と異なる。対話編としての旨味は話が国家レベルに拡大してより豊かに。相手の論点逸らしを執念深く潰しながら演説に没入する様には当時のアテナイ政治への怒りや葛藤が現れている。実利・享楽主義に染まった社会に横行する安易な「迎合」、その先に「善」はあるのか?普遍的な生活理念の対立を扱った本書は、世間の思潮と哲学批判に自問自答を重ねた著者の決意表明である。2022/05/24

かわうそ

35
『してみると、たんに法律習慣の上のことだけではないのだね、不正を行うほうが不正を受けるよりも醜いとか、また、平等に持つことが正しいとかいうのは。それはまた、自然の本来においても、そうなのだね。』152 優れている、そして個人よりも強いものである多数者が平等を求めているということ、また、多数者が不正を行うほうが不正を受けるよりも悪いことだと考えているのは明らかであるので強いものが不正を行うことができるという理由で不正を行うことは正当化され得ないと。2024/04/10

SOHSA

35
《購入本》無知の知を自覚し対話を通じて真理を探究したというイメージをソクラテスに抱いていたが、本書で描かれるソクラテスは全く別人のようだった。このソクラテスは単に相手に質問しているのではなく、その都度、相手に同意・承認を求めるのみであって、基本的には雄弁に滔々と自説を語り続ける。過去の政治家を評し「馬や牛でも、もしそれらの管理人が‥つまり、それらの動物を引きとったときには自分を蹴ることも、角で突くことも‥なかったのに、世話をした結果は粗暴なものとなって、そういう乱暴なことを何でもするものにしたら、(→)2017/01/16

ヴェルナーの日記

30
当時のアテナイにおける「善悪」「美醜」の基準という内容を、社会に蔓延していた「弁論術(いわゆる詭弁)」にスポットを当てて、知識と経験の2つに分類し、弁論術はただの経験に過ぎず、知識ではない(知識=徳)考えていたソクラテス(プラトン)の思想が哲学的問答方法によって、浮き彫りにされていく。 要するに当時のアテナイ政治は大衆に迎合し、口当たりのいいようなことしか言わなかった。だが、本当の徳のある政治家であるならば、医者のように時には民衆に痛みを伴う治療の必要と述べる。 今の政治家にも相通じる言葉である。2013/03/29

はら

23
あくまで、プラトンが書いたソクラテスということを重々承知した上で、読んでいて感じたことは2つある。1つ目は、ソクラテスってこんなにも自己主張して、自論を曲げない人なのかという印象。しかし、解説によるとこのゴルギアスという作品はプラトン初期の「ソクラテス的対話篇」とは異なり、プラトンの思想が出始めている作品なのだという。つまり、時間の経過とともにプラトンの中のソクラテスは成長し「プラトンのソクラテス」になり、それがよく表れているのが本書ということである。 2018/08/31

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