内容説明
人間のうちにあってわれわれを支配し,イデアを把握する力を持つ魂は,永遠不滅のイデアの世界と同族のものである.死は魂の消滅ではなく,人間のうちにある神的な霊魂の肉体の牢獄からの解放である-ソクラテスの最期のときという設定で行われた「魂の不死」についての対話.『国家』へと続くプラトン中期の代表作.
目次
目 次
一 序 曲(五七a一─五九c七)
二 死に対するソクラテスの態度(五九c八─七〇c三)
(一) ソクラテスの夢──ムーシケーをせよ──(五九c八─六一c一)
(二) 自殺禁止論──人間は神々の所有物である──(六一c二─六三e七)
(三) 哲学者は死を恐れない。死とは魂と肉体との分離であり、哲学者は魂そのものになること、すなわち、死ぬことの練習をしている者であるのだから(六三e八─六九e五)
(四) ケベスの反論。魂は肉体から離れると煙のように飛散消滅するのではないか(六九e六─七〇c三)
三 霊魂不滅の証明(七〇c四─一〇七b一〇)
(一) 生成の循環的構造による証明。生から死へ、死から生へ(七〇c四─七二e二)
(二) 想起説による証明。イデアの認識は想起である。故に、人は誕生以前にイデアを見ていたのでなければならない(七二e三─七七a五)
(三) さらに強力な証明へのケベスの要求(七七a六─七八b三)
(四) 魂とイデアの親近性による証明(七八b四─八四b八)
(a) 合成的なものは解体し、非合成的なものは解体しない。肉体は合成的であるが、魂は非合成的である(七八b四─八〇c一)
(b) われわれはできるだけ自分自身の魂を肉体との交わりから浄め、魂自身となるように努めなければならない(八〇c二─八四b八)
(五) 間奏曲1。白鳥の歌(八四c一─八五d一〇)
(六) シミアスの反論。魂が肉体の調和ならば、肉体の壊滅と同時に魂も死滅する(八五e一─八六e五)
(七) ケベスの反論。魂が肉体より長命だとしても、幾度も肉体を着潰すうちに疲労し衰弱して、ついに滅亡しない、という保証はない(八六e六─八八b八)
(八) 間奏曲2。言論嫌い(ミソロギアー)への戒め(八八c一─九一c五)
(九) シミアスへの答。想起説と「魂は調和である」という説とは両立しない。魂は肉体的な構成要素に支配されるのではなく、支配するのである(九一c六─九五b七)
(一〇) ケベスの論点の確認(九五b八─e六)
(一一) 間奏曲3。最終証明への準備(九五e七─一〇二a九)
(a) アナクサゴラス(自然学)への失望(九七b八─九九d三)
(b) 第二の航海──仮説演繹法(ヒュポテシスの方法)──(九九d四─一〇二a九)
(一二) 霊魂不滅の最終証明──イデア論による証明──(一〇二a一〇─一〇七b一〇)
四 神話──死後の裁きとあの世の物語──(一〇七c一─一一五a八)
五 終曲──ソクラテスの死──(一一五b一─一一八a一七)
訳者解説
文献表
訳者あとがき
索 引
訳 注
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のっち♬
イプシロン
松本直哉
rigmarole
ホームズ