岩波文庫<br> パイドン - 魂の不死について

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岩波文庫
パイドン - 魂の不死について

  • 著者名:プラトン/岩田靖夫
  • 価格 ¥792(本体¥720)
  • 岩波書店(2018/11発売)
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  • ISBN:9784003360224

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内容説明

人間のうちにあってわれわれを支配し,イデアを把握する力を持つ魂は,永遠不滅のイデアの世界と同族のものである.死は魂の消滅ではなく,人間のうちにある神的な霊魂の肉体の牢獄からの解放である-ソクラテスの最期のときという設定で行われた「魂の不死」についての対話.『国家』へと続くプラトン中期の代表作.

目次

目  次

 一 序  曲(五七a一─五九c七)

 二 死に対するソクラテスの態度(五九c八─七〇c三)
  (一) ソクラテスの夢──ムーシケーをせよ──(五九c八─六一c一)
  (二) 自殺禁止論──人間は神々の所有物である──(六一c二─六三e七)
  (三) 哲学者は死を恐れない。死とは魂と肉体との分離であり、哲学者は魂そのものになること、すなわち、死ぬことの練習をしている者であるのだから(六三e八─六九e五)
  (四) ケベスの反論。魂は肉体から離れると煙のように飛散消滅するのではないか(六九e六─七〇c三)

 三 霊魂不滅の証明(七〇c四─一〇七b一〇)
  (一) 生成の循環的構造による証明。生から死へ、死から生へ(七〇c四─七二e二)
  (二) 想起説による証明。イデアの認識は想起である。故に、人は誕生以前にイデアを見ていたのでなければならない(七二e三─七七a五)
  (三) さらに強力な証明へのケベスの要求(七七a六─七八b三)
  (四) 魂とイデアの親近性による証明(七八b四─八四b八)
  (a) 合成的なものは解体し、非合成的なものは解体しない。肉体は合成的であるが、魂は非合成的である(七八b四─八〇c一)
  (b) われわれはできるだけ自分自身の魂を肉体との交わりから浄め、魂自身となるように努めなければならない(八〇c二─八四b八)
  (五) 間奏曲1。白鳥の歌(八四c一─八五d一〇)
  (六) シミアスの反論。魂が肉体の調和ならば、肉体の壊滅と同時に魂も死滅する(八五e一─八六e五)
  (七) ケベスの反論。魂が肉体より長命だとしても、幾度も肉体を着潰すうちに疲労し衰弱して、ついに滅亡しない、という保証はない(八六e六─八八b八)
  (八) 間奏曲2。言論嫌い(ミソロギアー)への戒め(八八c一─九一c五)
  (九) シミアスへの答。想起説と「魂は調和である」という説とは両立しない。魂は肉体的な構成要素に支配されるのではなく、支配するのである(九一c六─九五b七)
  (一〇) ケベスの論点の確認(九五b八─e六)
  (一一) 間奏曲3。最終証明への準備(九五e七─一〇二a九)
  (a) アナクサゴラス(自然学)への失望(九七b八─九九d三)
  (b) 第二の航海──仮説演繹法(ヒュポテシスの方法)──(九九d四─一〇二a九)
  (一二) 霊魂不滅の最終証明──イデア論による証明──(一〇二a一〇─一〇七b一〇)

 四 神話──死後の裁きとあの世の物語──(一〇七c一─一一五a八)

 五 終曲──ソクラテスの死──(一一五b一─一一八a一七)
   訳者解説
   文献表
   訳者あとがき
   索 引
   訳  注

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

のっち♬

129
処刑執行日を迎えたソクラテスがシミアス、ケベスと「魂」についての問答・対話を展開する。倫理的な徳の認識と実践に対するソクラテスの問いから、永遠不変に自己同一を保つ実在としてのイデアを定立化した意味で重要な作品。『弁明』では死に対して不可知論的な立場を取っていたソクラテスだが、ここでは積極的に魂の不滅の証明に情熱を注いでおり、「哲学のもたらす解放と浄化」に対する著者の強い信念を感じられる。熱と冷、偶数と奇数などの反対概念から発展する仮説演繹法的論究の奇抜な切り口や、イデア論を踏まえた独自の宇宙論もユニーク。2021/09/28

イプシロン

50
宗教にせよ哲学にせよ「いかによく生きるべきか」を問うものであるが、そこを誤解して書物が読まれていることは嘆かわしい。本書もきちんと読めば哲学とは「いかによく生きるべきか」という問いにそれぞれが答えを見出す学問であることは明瞭だが、プラトン=イデア論、つまり魂の不死という論理が注目され、それが信じられるのか、られないのかという議論に陥る読み方をされているようだ。そもそも魂の不死を語らざるを得なかった流れを読み落としているのだろう。本作の冒頭は自殺論からはじまる。自殺はしてはいけないこと。ではソクラテスは、2019/10/21

松本直哉

38
肉体労働はすべて奴隷にさせてもっぱら学問に打ちこむ哲学者だからこそ、このように肉体を軽蔑することができるのかもしれない。目も鼻も口も耳ももたず幸せに生きていた渾沌の神を見て、おせっかいな友人たちが穴をあけたため神は死んでしまったという『荘子』の逸話を思い出した。目も見えず耳も聞こえない方が幸せであり、見えたり聞こえたりするから思い惑う。しかしそれが人間の条件なのだから、哲学者のように逃げることはできない。むしろ、はかなくうつろう光と影の瞬間の中にこそ、永遠なるものが宿るということはできないだろうか。2022/04/12

rigmarole

31
印象度A-。大前提であるイデアの存在自体については結局納得できなかったものの、魂の不滅を信じることで幸せになり、徳性を高めることで解脱して冥界の天国に行けるというのであれば、本書の主張には、少なくとも宗教的な価値はあると言えるでしょう。命題の真偽や証明の妥当性はともかく、人に理屈を呑み込ませるためには、例示や比喩を用いて多くの言葉を重ねる必要があるということを教わりました。主題の一貫性、議論の明快さ、物語としての美しさからして、プラトンの中でも白眉の一冊です。否、私としては『パイドロス』の次くらいか。2019/11/27

ホームズ

29
ソクラテスの死の直前にかわされた議論。今まで読んだものの中で1番わかりやすく読んでいて興奮した作品。やはりもっと色んな本を読み芸術作品を鑑賞したりして成長したいな。2013/08/28

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