岩波新書<br> 総介護社会 - 介護保険から問い直す

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岩波新書
総介護社会 - 介護保険から問い直す

  • 著者名:小竹雅子
  • 価格 ¥924(本体¥840)
  • 岩波書店(2018/11発売)
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  • ISBN:9784004317319

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内容説明

誰もが介護に関係してくる日が,すぐそこに来ている.それを支えるには介護保険が不可欠だが,度重なる制度改正は利用者に何をもたらしたのだろうか.家族の変化,介護労働の現状など社会状況を述べながら,介護保険制度を最新のデータとともに丁寧にわかりやすく解説.全世代をみすえた制度のあり方を考える.

目次

目  次
   はじめに 私が介護保険にこだわる理由

 序章 介護問題の社会化
    「含み資産」から「介護の社会化」へ
  1 六五歳以上の人の暮らし
    「未婚の子」との同居が増えている/老後をどう暮らしたいのか/高齢者の家計/ 「介護サービス」への支出/貯金額には大きな開きがある/生活保護の半数は高齢者世帯/亡くなる場所は病院
  2 高齢の人の困難
   犯罪の背景には「孤独な生活」/ 「孤立死」の表面化/セルフ・ネグレクトと「ごみ屋敷」/消費者被害を隠す高齢者/高齢化するホームレスの人たち/自殺する理由は「健康問題」
 1章 介護保険を利用する人たち
  1 介護認定を受けた人たち
   認定者は八〇歳以上が中心/介護が必要になる原因はさまざま/認定を受けた人の半数以上は認知症/なぜ、サービスを利用しないのか/在宅サービスを利用する人が多数
  2 介護をする人たち
   介護者は六九九万人/介護者の生活時間/ 「老老介護」の増加/ 「男性介護者」は三割/ 「若年介護者」の課題/ 「母娘介護」の葛藤/ 「シングル介護」と「ダブルケア」/ 「介護ストレス」の危機/ 「同居介護」の責任/ 「通い介護」の労災認定/一五八万人が「介護離職」/介護休業制度の状況/介護殺人の背景
 2章 介護現場で働く人たち
  1 「在宅」を支えるホームヘルパー
   ホームヘルパーは三〇万人/非正規、非常勤/ホームヘルパーの労働環境/サービス提供責任者も非常勤に
  2 「通所・施設」を支える介護職員
   夜間勤務の基準/介護労働者の責任
  3 人材確保と給与水準
   人材確保のための対策/ 「人材不足」の構造/給与は、いくらなのか/比較できない給与データ/介護労働者は、どのくらい必要なのか
  4 介護労働者の課題
   働く者の権利/介護労働者による虐待/ 「身体拘束」の禁止/ 「福祉労働」という視点/ 「介護福祉士候補者」の受け入れ/技能実習制度の導入
 3章 介護保険のしくみ
  1 介護保険の基本
  2 介護保険の財源
   給付費は介護保険料と税金で負担/介護保険は社会保障給付費の八%
  3 介護保険料の計算方法
  4 現役世代の介護保険料
   個人と事業主が分担/人数から収入に応じた計算方法に
  5 高齢世代の介護保険料
    「基準額」と負担段階/市区町村ごとに変わる第一号介護保険料/消費税による負担軽減策/年金からの天引き
 4章 介護保険の使い方
  1 地域包括支援センターに相談する
  2 介護認定を申し込む
   介護認定には三種類/申し込みをする権利/主治医意見書が必要/訪問調査にもとづく一次判定/訪問調査の注意点/認定審査会の二次判定/ 「更新認定」の見直し
  3 介護認定の結果
   認定ランクと利用限度額/申請日からサービスは利用できる/介護認定の有効期間/審査結果への疑問
  4 認定システムの課題
   納得できない人が多い理由/介護認定の見直し/システム変更をめぐるトラブル
  5 「基本チェックリスト」の登場
    「基本チェックリスト」と介護予防事業/介護予防・日常生活支援総合事業/要支援1、2の人も「基本チェックリスト」/介護認定の申し込みをするときの注意事項
  6 ケアプランをつくる
   すべての利用者にケアプランがある/要支援認定の人は、ふたつのケアプラン
  7 サービスの種類
   さまざまなタイプの在宅サービス/施設サービスは、一時的に四種類/地域密着型サービスは九種類/事業所を調べる方法/福祉サービスの第三者評価
 5章 介護保険にかかるお金
  1 サービスの料金
   単位と金額のちがい/サービス別の料金設定/ 「総合事業サービス」の料金
  2 利用する人の負担
   利用限度額の見直し/一割が原則だったが二割も/三割負担も/二割負担になった人への影響
  3 自己負担を軽減するしくみ
   世帯単位の高額介護サービス費/上限額の引き上げ/立て替え期間の負担/高額医療合算介護サービス費/確定申告の控除対象/低所得の人への「社福軽減事業」
  4 食費と居住費の自己負担
   食費と居住費は自費に/負担軽減策/ 「補足給付」の厳格化/遺族年金と障害年金も調査対象に
 6章 なぜ、サービスは使いづらいのか
  1 介護保険を見直すしくみ
   社会保障審議会のふたつの組織/改正と実施にはタイムラグがある
  2 ケアプランは、だれのものか
   介護・医療の専門職がケアマネジャー/ケアマネジメントというサービス/要支援の人はケアマネジャーを選べない/ふたつの「介護予防ケアマネジメント」/消費税で追加された包括的支援事業/地域ケア会議の開催/利用者がいない/ 「財政的インセンティブ」/ケアマネジャーの「資質向上」とは/ケアプランの事前チェック/ケアマネジメントの有料化/ 「aiケアプラン」
  3 ホームヘルプ・サービスの受難
   六〇年以上の歴史/ホームヘルプ・サービスのメニュー/ 「家事援助」をめぐる議論/ 「廃用症候群モデル」/介護予防ホームヘルプ・サービスの新設/ 「通院等乗降介助」の制限/ 「同居家族」という制約/ 「生活援助」の時間短縮/給付と事業のちがい/定期巡回・随時対応サービスの登場/介護予防ホームヘルプ・サービスから訪問型サービスに/介護保険が期待する「地域の支え合い」/要介護1、2への「生活援助」/ホームヘルパーの「機能分化」/ 「生活援助」の利用回数/ 「統計的な数字」による基準
  4 特別養護老人ホームの条件
   利用者と待機者/ 「総量規制」という制限/特別養護老人ホームをつくる費用/ 「真に入所が必要な者」は四万人/要介護3以上が原則に/待機者は半減/空き部屋と職員不足の関係/介護医療院の登場/有料老人ホームは九倍に/サービス付き高齢者向け住宅は激増/利用するのは在宅サービス
 7章 介護保険を問いなおす
  1 介護報酬の課題
   介護報酬の推移/介護労働者を確保するためのプラス改定/期間限定の介護職員処遇改善加算/人件費の試算/加算報酬の課題/二〇一八年度予算と第七期改定/ 「医師の指示」が必要な加算報酬
  2 介護保険に求めること
    「そのままの状態で尊重」されること/介護保険のアセスメント/ 「在宅認定者の全国実態調査」の実施/ケアマネジメントは独立型の事業所に/ 「現金給付」の再検討/利用料は「応能負担」に/介護保険と医療保険の役割分担/社会保障審議会のありかた
  3 介護保険に市民としてできること
   介護が必要な人は「立ちあがれない」/介護をしている人には「ゆとりがない」/介護未満の人からのアプローチ/介護保険事業計画に関心をもつ/被保険者のための苦情解決機関/パブリックコメントの活用
  4 「総介護社会」にむけて
   若い世代の負担/介護保険と障害福祉サービス/六五歳以上は「保険優先」が原則/障害者総合支援法の成立/ 「共生型サービス」の登場/ 「介護がある暮らし」の普遍化を

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ステビア

12
事実の羅列という感じで読みにくかった2019/07/09

メガネ@ポテトライナー

10
故あって購入しました。あまり縁のない介護保険ですが、想像通り、、、というかそれ以上に複雑な制度でした。なんとなくごちゃごちゃに考えてる医療・年金・介護は密接に関わりながらも少し分けて考えないとダメですね。久しぶりに岩波新書読んだけど、慣れない分野のせいもあって疲れた?2018/09/30

まゆまゆ

7
介護保険制度と背景を紹介していく内容。高齢者全体でみると、80歳以上の約半分、90歳以上の8割が要介護認定を受けている。およそ8割はホームヘルパー等による在宅サービスの利用で特養等の施設サービスは残りの2割。お金の問題から制度の持続可能性が議論されてきた経緯を知ることができた。2018/12/05

てくてく

7
新書向けにかなり簡潔に書いていることは理解できるのだが、理解できるのはそこまで。当事者や家族だけに介護を押し付けることはもはや無理な状態であるので社会で支える必要があり、制度ができるいたとはいえ、必要な人が的確に制度を利用できるのか、自分はとうてい自信がない。なぜここまでわかりづらい制度にし、かつ利用しづらい制度に変えていくのだろう。2018/11/16

amanon

6
これってケアマネのテキストと内容が被るな…というのが第一印象(笑)。それはともかくとして、介護に携わる者としてというだけでなく、五十路を迎えた独居者として、読み進めるうちに暗澹たる気持ちにならざるをえなかった。進みゆく高齢化、介護者不足、需要と供給のアンバランス…とにかくあっちを立てればこっちが立たず的などうしようもないジレンマに、いっそのこと安楽死を認めればいいのでは?なんて暴論を口にしたくなる、マジで。ただ、そういう状態に陥らないために、一人一人が問題に取り組む姿勢が重要だということを教えてくれる。2019/05/21

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