内容説明
綿密な計画のもと、身分を偽り、ローパーの懐深く潜り込んだジョナサンは、武器取引の情報を流し始めるが、ローパーの愛人と禁断の恋に落ちてしまう。一方、新エージェンシーの極秘作戦は、破綻を見せ始めていた。新エージェンシーと対立する一派が極秘作戦を破棄させようと動き出し、さらには作戦の情報がローパー側に漏洩したのだ。ジョナサンに危機が迫る! 悪辣な武器商人と、腐敗した政界を仮借なく描く入魂の大作
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヘラジカ
24
『地下道の鳩』刊行記念に読了。上巻末から勢いこそ少し落ちるものの依然として読ませる力は健在。最後まで目が離せない。特に活劇があるわけではないのに終始ヒリヒリしながら読んだ。前半とは違い上層部の”いざこざ”が物語に入り込んでくるため、やや複雑さが増し読みにくく感じるが、人物同士の対立構造さえ把握していれば流し読みでも遜色ないと思う。続編がないのを残念に感じるくらいの素晴らしい作品。「悪党を退治して大団円!」といかないところがル・カレの良いところだ。ドラマを見るのがすごく楽しみ。2017/03/17
バ度ホワイト
15
『ティンカー、テイラー~』みたいに難解じゃなくてエンタメ全開の物語に最後までワクワクした。下巻からは英国上層部の動きがあわただしくなり、末端組織の不遇な扱い、現場工作員の苦悩が浮き彫りに。情報部内の駆け引きなんかは映画『スパイゲーム』を思い出した。物語の締めくくり方も冒険小説ぽくって好感触。ル・カレ先生は難しいっていう考えが吹っ飛ぶ。それにしても戦争、麻薬による必要悪ってゾッとする。2018/04/11
yooou
7
☆☆☆☆☆ そうきたか!!しかし先の読めない物語は後半怒涛の展開に。見事としかいいようがない2022/11/13
ろばこ
7
再読。この作品が世に出てからずいぶん経つようだけれど、続編書いてくれないかなあ…。バーにまた会いたい。2016/07/30
かんとり
5
武器輸出と麻薬取引を政治と歌うカリスマ悪党に痛みは少なく。 あと一歩まで追い詰める情報部も、 身内の駆引き権力争い、腐敗のまん延した、政治の海へ沈んでいく… 潜入スパイの主人公、肝の部分、裏切り、発覚、破綻、この辺は再読しないと分かり難いかな。 正統派、硬派なル・カレ、面白い。 2022/11/01