内容説明
スイスの名門ホテルのナイト・マネジャーであるジョナサンは、吹雪の夜に訪れた武器商人のローパー一行を見て、忘れ難い過去を思い出した。ローパーこそ、彼が愛した女性を死に追いやる元凶となった男だったのだ。やがて、イギリスの情報部から独立した新エージェンシーがジョナサンの存在を知り、ローパーの武器取引の証拠を握るべく彼をリクルートした。ジョナサンは復讐に燃える! 巨匠が現代の巨悪を描破する傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
95
主人公ジョナサン・パインは高級ホテルのナイト・マネジャー、即ち夜勤のマネジャー。私は夜のシフトのマネジャーがいるとは知らなかった。彼はスパイとしてスカウトされ世界的な武器商人の国際的犯罪の証拠を掴む任務に就く。これまでは国家対国家のスパイ戦だったが、今回は武器商人に対する潜入捜査。冷戦が終了し、作者が照準を定めたのが国家さえも頼りにする強大な力を持つ一個人にシフトしたのが興味深い。そしてこのパイン、元軍人で料理の腕前もプロ並みで女性にモテる、まさにジェイムズ・ボンドみたいな男なのがル・カレにしては珍しい。2023/10/25
ヘラジカ
25
『地下道の鳩』刊行記念&Amazonでドラマを見かけて気になったので読了。滅茶苦茶面白い。舞台や設定だけで期待感が膨らみまくったが読んでみると想像以上に燃えた。武器商人VS退役軍人のスパイ(復讐心つき)という最高の構図を、前半だけでフルにいかしてると思う。スパイとカウボーイって男の憧れだよなあ…。アウトローなのが平凡な人生を送る人間には魅力的に見えて仕方ないんだろうなあ。これはドラマも絶対観ないと。勿体ないので下巻は時間を置いて。2017/03/09
バ度ホワイト
10
ル・カレということで、読むのに苦労する難しいという先入観があり、かなりの気合を入れて読む。うん、解る解る理解できてる笑 気になる下巻。そしてトム・ヒドルストン主演のドラマ版もめちゃくちゃ気になる。2018/04/06
yooou
7
☆☆☆☆☆ 見事な展開。これを読まずにすませてきてしまっていたとは。そして今この時期に巡り合うというのは至高の喜びであります2022/11/29
かんとり
6
さてルカレ。読み難さ相変わらずだが、丁寧に会話を追えば理解できる。 孤児、海兵隊、山にセーリング、料理も上手くて、洗練された会話のホテルナイトマネージャー。 この主役が潜入スパイになる為の、欺瞞暗躍。 英米諜報機関のくせ者ハンドラーが作戦立案、 腹黒紳士武器商人の組織に入り込み何をする? で、下巻へ。 面白くなってきた。2022/10/18