内容説明
好き嫌いがキッパリ分かれるパクチーの爆発的なブームとともに、
いま日本には第二のアジア飯ブームが到来している。
ガパオ、パッタイ、カオマンガイ……。
いつから日本人はこれほどまでにスパイスとハーブの香りの虜になったのか。
『Hanako』『きょうの料理』『オレンジページ』『dancyu』など時代を鮮やかに映しだしてきた雑誌や、アジアを舞台にした映画、小説、日本に急増する移民が広めた食文化を丹念に紐解きながら、日本人をとりこにしたパクチーとアジア飯の喜びの謎に迫る。
のびゆくアジア、どこか懐かしいアジアを愛し、旅し、食べ歩いている
すべてのニッポンの女子に贈る。アジア飯の魅力の源泉をさぐる一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶち
75
好き嫌いがはっきりしているパクチーがこれほどまでに多くの人を虜にしているのは何故なのでしょう? 著者は、アジアを愛し、旅し、食べ歩いて、丁寧にレポートしてくれていて、充実した内容です。 食事をテーマにしながらも、アジアからの移住の歴史、日本人の食事の習慣や生活、味覚の変遷など、探究心を満たしてくれて、たいへん楽しめました。 昭和や平成の時代に旅行してきた東南アジアやインドでの体験、日本国内でアジアの味を求めて右往左往していた若い時代を思い出しながら、懐かしく振り返ることができました。2019/01/15
ようはん
14
数年前のパクチーブームから遡るパクチー普及の背景を掴みに一般的にはエスニック料理と呼ばれるアジア料理の日本への受容の歴史、インドのカレーや中華料理にも触れている。あまりパクチーやアジア料理には馴染みは無かったものの、普及の為に多大な尽力を重ねた人のエピソード見ると一度は食してみたい気持ちになる。2020/12/26
なにょう
13
良書。ベトナム・タイ・インド・中国の料理が、日本に浸透する経過を丹念におった真面目な本。日本人が戦争や経済活動で大陸に出向く、大陸から経済活動あるいは避難先として日本に出向く。或いは日本の一個人が、アジアの食材や料理に惚れて普及活動を始める。メディアが取り上げる。ある時からすっかり日本社会に受け入れられる。アジアからの食の影響を振り返ることは、日本の対外史、庶民の食生活の変遷を振り返ることにもなる。★エッセイ、レシピ本は多いけど、全体を見渡せる本はそうそうなくって、そういう意味でも本書は貴重だ。2022/11/23
てくてく
7
好き嫌いが分かれるらしいパクチーがある程度日本に広がった背景と、エスニック料理がいつしか海外の料理全体ではなく主にインドおよび東南アジアの料理をさすようになるまでの過程などをまとめた本。後半は元ネタとなった本を読んでいたので既視感があったがそれなりに楽しめた。丁度ニュースで九州地方のパクチー農家が今年も大雨の影響で多大な被害を受けたことが報道されていた。合掌。2020/07/09
綿
6
ある国で食べられている料理が日本でも食べられるようになるには、当然のことながら、そのレシピや食材だけがぽーんと海を越えてくるわけじゃない。ぜったいにその国の人が日本に渡ってきた、あるいは日本人がその国に渡った背景がある。食の文化について知ることは、そのおいしさやわくわくする歴史だけでなく、各国の人びとが日本でどのように暮らしているか知ることでもある。切ってもきれない移民・難民問題についても触れられていて、そのバランスがいいなあと思った。2018/10/28