内容説明
その若者、並外れた体躯であった。名は獅子若。比叡山領坂本で馬による陸運業・馬借をしている。世は混迷の室町期、貧者は自力で身を守らねばならぬ。己の腕力のみを信じて生きてきたが、権力者の逆鱗に触れる出来事により叡山領追放の身に。愛馬を連れ、失意のうちに彷徨うなか現れたのは「はぐれ馬借衆」を率いる美少女・佐保だった。彼女の誘いに行動を共にするが、一団を追う刺客の影が――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
トラジ
4
室町期。自身救済の世相は己の身は自分で守らなければ立ち行かない弱肉強食の世界。当時の陸運業・馬借を生業とする獅子若は印地打ちに長け大会3連覇をするのだが・・・。人間に不信や絶望感を抱いた馬の心をほぐしていく描写は見事。妖草師とか今回の馬借とか独自性の強い意欲作を連発する作者の今後が楽しみ。2017/12/04
8番らーめんR
3
室町六代将軍、足利義教の時代。馬借(馬を使った運送業者)である獅子若が主人公である彼の成長物語である。いつもながら思うのだが、作者の時代小説家であるところの視点や知識が半端ない。「印地」一対一で行う石合戦。死者も数多く出た遊戯が日本から一掃されたのは江戸幕府の登場まで待たねばならなかった。等々、歴史に興味がある読者にとっても読んだ事もない風習、風俗等が記述され作者の歴史観ともども目から鱗請け合い、期待のシリーズ開幕である。2018/07/24
好奇心
1
室町時代足利義教の京周辺の物語、当時の乗り物の中心は馬と牛、物を運ぶ役目も果たしていた、馬借・車借と呼ばれた今で言う運送業があったようだ、それに携わったいたのが童たち?子供、戦乱で親を亡くした童の群れ、身を守る知恵が印地だったのでは、一時代に存在して呼ばれていた愚連隊のようだ、童は強い、大人が登場しない話だった2018/10/07
zero
1
ほとんど馴染みのない時代。作品としては登場人物紹介のプロローグに過ぎない。続編ありきはよいのだが、敵役の狗神衆もあっさり撃破、メインお使いの畠山氏へのお手紙配達はナレのみ。変わった描き方だよね。2018/03/12
のん
0
室町時代の馬借、獅子若の物語。この作者の本は初めてだったけど映画テレビの制作から小説に代わっただけあるエンターテーナー。他の本も読んでみたいです。2017/12/16