内容説明
戦国時代には数々の合戦の舞台裏で、徳川の治世にはその政の背後で、彼らは密かに戦い続けていた――。伊賀、甲賀、軒猿……時に密命を受け、時に自らの意思で死地へと飛びこんでゆく忍者たち。秘術を尽くした激烈な死闘に息を呑み、仁義なき騙しあいに手に汗握る。本格ミステリーの手練れたちが全編新作書下ろしで贈る、謎に彩られたスーパー忍者活劇全五編!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Norico
17
忍者のアンソロジー。安萬純一さんの「死に場所と見つけたり」は、右門は生き方も死に方もかっこよい。天祢涼さんの「風林火山異聞録」の山本勘助もよかった。上杉謙信も驚き。山田彩人さんの「下忍へちまの小六」、小六はすごい2020/06/18
二分五厘
17
ミステリ作家による忍者アンソロジー。『安萬純一』幕府隠密・右門と、藩内に草として埋伏する兼明。様々な思惑と陰謀の影で果てる忍びの悲哀。『霞流一』山風バリのぶっ飛んだ伊賀甲賀忍法合戦。"夕陽はかえる"スタイルの隠語も飛び交う痛快忍術劇。『天祢涼』忍者・山本勘助、川中島にて上杉政虎を狙う。死闘の果てに哄う者。『山田彩人』何故か十中九死の状況でも必ず生還する、無能な下忍・小六。隠された彼の忍術とは。『二階堂黎人』隠密の前に現れる異様な光景。山が吠え、三つ首のオロチが火を吐く。忍者活劇ミステリ。2020/05/01
トリプルアクセル
9
忍者をテーマにしたアンソロジー。どの作品も面白かったが、中でも霞さんと天袮さんの作品が特に良かった。霞さんの作品は、山田風太郎の忍法帖を思わせる内容に、必殺テイストなどの霞さんならではの味付けが加えられた素晴らしい内容だった。天袮さんの作品は、史実に基づいた設定で結末がわかっているという難しい縛りの中、面白く読ませる筆力やどんでん返し、啄木鳥の「落ち」が素晴らしかった。忍者活劇としても本格ミステリとしても高いレベルの作品が揃った素晴らしいアンソロジーだと思う。2018/10/04
キリン
7
長編もいいけど、短編は短編でバラエティゆたか。2019/05/07
ひさか
4
2018年8月光文社文庫刊。死に場所と見つけたり:安萬純一、忍夜かける乱:霞流一、風林火山異聞録:天祢涼、下忍へちまの小六:山田彩人、幻獣:二階堂黎人、の5篇の書下ろしアンソロジー。シリーズ1作目。山田風太郎ばりのスーパー忍者達が活躍するのが面白く、楽しい。2019/03/15