内容説明
その「偶然」は仕組まれたものかもしれない。
出会いと別れ、栄光と挫折、幸福と不幸、そして生と死……。
あなたの人生を左右した「偶然」や「運命」は、実はすべて仕組まれていたのかもしれない。奴らによって――。
弁護士試験に挫折して就職活動中の水氷里美は、ある日、電信柱に貼られた「オフィス油炭」という会社の求人広告を見つける。藁にもすがる思いで連絡を入れると、面接場所に指定されたのは、なんと錦糸町のパチンコ屋!?
数々のミッションをなんとかクリアして、入社が認められた里美に与えられたのは「アクシデントディレクター」という聞き慣れないお仕事だった――。
確率に異常にこだわる社長の油炭、かわいいけれど戦闘能力の超高い女子中学生・クロエとともに、里美はクライアントからの依頼を遂行していくが、あるとき「偶然屋」たちの前に、悪魔のような男の存在が浮かび上がる……。
ブラックユーモアミステリーの名手が本領発揮! こんな展開、予測不能!!
『ドS刑事』シリーズで人気の著者、新たなる代表作。
※この作品は過去に単行本として配信されていた作品の文庫版となります。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
茜
134
いつも自分の作品ではないのにツイッターに「いいね」を押してくれる七尾与史先生の作品ですが初めて読みました。「いいね」を押してくれるのに読んだことがないっていうのはちょっと失礼だなと感じたので。。。伏線が様々なところに仕掛けてあり、「あ、ここで繋がるのかぁ」と納得することしきり。最近読んだ「ルワンダジェノサイド」の事もちらほら出てきて楽しめました。結末はまだ予断を許さない感じで続編に続くのかしらと期待が膨らみます。もしかして私の人生は偶然屋が仕掛けていたらと想像するとちょっと怖いw2021/09/03
ちょこまーぶる
87
とても面白い一冊でした。フリーターの女性と戦闘能力の強い女子中学生と謎の履歴の社長男性のアクシデントディレクターという職種の3人組が、壮大なシナリオと心理的操作が絡み合う難事件を解いていくという内容なんですが、一つ一つの事件が次々と繋がりあっていくスピード感に、ページを捲る事が楽しくてしかたなかった感がありました。そして、3人のキャラクターが個性的で、その3人の掛け合いに面白さもありましたね。それにしても、人の心理状況を操作して自分は手を下さない犯人の賢さにも驚くと同時に感服もしちゃいましたね。2022/04/19
papako
83
タイトル『偶然屋』から想像した内容と違いました。もっと偶然屋のお仕事的なお話かと思っていたら、モンスターとの対決のお話でした。モンスターの正体に近づくくだりは楽しめましたが、小説家の登場が唐突すぎるし、そんなすごい文章って?となり、置いてかれた気分です。とはいえ、油炭とクロエと水氷里美の組み合わせは楽しかった。もっと『偶然』を仕掛けるお話読みたかったです。2019/02/20
dr2006
72
ハラハラ💦クライムサスペンス感が好き。偶然だと思った事が実は巧みに演出された仕込みだったら?人生ってそんなもんだと受け入れている様な日常が、綿密に仕組まれたレールだったら?果たして幸運と不運の確率はイコールだろうか。偶然屋は偶然を装い心理的弱点を突き、人の運命を動かす。弁護士試験に挫折して職を探していた水氷里美は、オフィス油炭なる求人広告を見つけ、面接場所に赴くが…。登場人物のキャラがたっていて展開も早く一気読み⤴七尾与史、えぐさを備えるが後味は良い。ハードボイルド感がクセになるかも。2も読みたい。2022/11/17
えみ
65
自分が偶然だと思っていた全てのことが、誰かの意思によって仕組まれて引き起こされたものだとしたら…、怖いと思う。人間不信になってもおかしくない。しかしもし自分が偶然を演出する側の人間だとしたらどうだろうか。とことん偶然を偶然らしくそのターゲットに提供するに違いない。役割変わればいつだって人はそちら側へ浸透していくことができる。求人広告に誘われて就いた仕事は「アクシデントディレクタ—」なんだこれは?と衝撃を受けながらも、とことん好戦的な事件展開にいつの間にか引き込まれてしまった。私達に起こる全て、本物ですか?2023/10/05