文春e-book<br> 逆転の大戦争史

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逆転の大戦争史

  • ISBN:9784163909127

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内容説明

ペリーによって砲艦外交の屈辱を嘗めた日本は
西周(にし・あまね)が、「侵略は善」たる「旧世界秩序」を学ぶ。
朝鮮を併合した日本にしかし、満州国は認められなかった。
一九二八年に世界は大きく変わっていたのだった。

「旧世界秩序」。戦争は合法、政治の一手段。戦争であれば
領土の略奪、殺人、凌辱も罪に問われない。しかし、経済封鎖は違法。

「新世界秩序」。戦争は非合法。侵略は認められない。
経済封鎖と「仲間外れ」によって無法者の国を抑止する。
が、どんな失敗国家も侵略されず内戦の時代に。

「パリ不戦条約」という忘れられた国際条約から
鮮やかに世界史の分水嶺が浮かび上がってくる。

【もくじ】
序章 一九二八年という分岐点

第一部 旧世界秩序
第一章 戦争を合法化したオランダ人弁護士
第二章 四五〇の宣戦布告文書を分析する
第三章 殺しのパスポートをいかに得たか
第四章 経済制裁は違法だった

第二部 移行期
第五章 戦争はこうして違法化された
第六章 日本は旧世界秩序を学んだ
第七章 満州事変は新世界秩序の最初の試金石だった
第八章 新世界秩序の勝利
第九章 ソ連を組み込む
第一〇章 ナチスの侵略を理論化した政治学者
第一一章 ニュルンベルグ裁判の論理を組み立てる
第十二章 戦争犯罪を個人の責任として裁く

第三部 新世界秩序
第一三章 一九二九年以降、永続的侵略は激減した
第一四章 国の数が増えたのには理由がある
第一五章 失敗国家の内戦
第一六章 「仲間はずれ」という強制力
第一七章 イスラム原理主義は違う戦争を戦う
終章 国際主義者たちを讃えよ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

サアベドラ

22
1928年、史上初めて国家間の戦争を非合法化したパリ不戦条約と、それがもたらした国際秩序の変化を解き明かした大著。2人のアメリカ人法学者の共著。17世紀のグロティウス以来、国際社会は戦争こそが最終的紛争解決手段だった。それを禁じたパリ不戦条約は、当初はその構造的欠陥によりWWIIを防ぐことは出来なかったが、のちに国連憲章の礎となり、戦後の世界平和、すなわち戦争と領土変更の劇的減少に大きく貢献したという。法の持つ力とそれを作り出した法学者たちの努力。本書の内容すべてに承服するつもりはないが、非常に楽しめた。2019/02/01

spike

3
大著だが根気強く読み進めると得るところは大きい。ただこの邦題はいただけない。なんせ原題はThe Internationalistsだし、れっきとした政治学かつ法律の力を論ずる本なので。2019/01/05

くろすけ

2
パリ不戦条約から何十年もかけて今の世界秩序にたどり着いた。条約違反した国に制裁を加えるには、かつては戦争を仕掛けていたが、今の秩序では仲間はずれが有効である。しかし、テロリストや内戦などには効果がなく、どのような形で、世界秩序を否定する主権国家に対抗するかは課題となっている。読むのに時間がかかったが、面白かった。戦線布告の分析やナチスの侵略までの経過を分析するなど、様々なアプローチをしていて退屈しない。2019/03/08

黒とかげ

2
こんなに参考文献の多い本を初めて読んだ。とにかく自分にとっては新鮮な視線からの歴史書。現代を生きる自分たちは昔のルールが適用されないことを神に感謝するしかない。だが万能な制度など存在しない。これから自分達がどういう選択をすれば良いのか、考えながら生きるべきなのだろう。2018/11/14

カラコムル711

2
不戦条約と言っても多くの人は単なる理想をうたった「戯言」位にしか見做していないのではないか。しかしこの書はそうした偏見に多くの事実と実証で、この条約が国際法の体系に画期をもたらしたことを証明している。国際法と歴史にに関し、非常に興味深い該博な識見を含んでいて、かつ読んでそれほど難解でもなく面白い。最近読んだ中でも一二の収穫の書であった。 2018/11/03

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