内容説明
高峰秀子。昭和の日本映画界を代表する大女優である。5歳でデビューして天才子役の名をほしいままにし、その後大人の女優に成長。出演作品『二十四の瞳』『浮雲』などは映画にくわしくない者でもその名は知っているだろう。誰もが認める輝けるスター。だが、その人生の陰には「5歳の誕生日に実母をなくす」「義母をはじめとする血縁十数人を養うために、ろくに学校に通うこともできず、好きでもなかった女優業を50年にわたって続けるほかなかった」事実があった。本書は、高峰の最晩年に寄り添った養女でありエッセイストでもある著者が、高峰の言葉をエピソードとともに記したものである。稀有の女優が遺した言葉には思わず胸を突かれるものが多い。その一つ、「私は結婚と同時に、家庭を七分、仕事を三分と割り切って、大幅に仕事を減らしました」。31歳の時に、まだ名もなく貧しい助監督でしかなかった松山善三と結婚した高峰。大女優として生きるより、一人の男の妻として生きるほうを大事、幸せと考えたのである。そしてタイトルにもなった「煙のようになって消えていきたいの」。さあ、あなたは、この謎めいた言葉から、どんなメッセージを受け取るだろうか。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あじ
47
高峰さんの前では、おこがましくて何も言えなくなる。知れば知るほど、その“言辞”の深意が食い込んでくるようになったからだ。常に人間を見つめ、自身と向き合ってきた人だから、反芻の回数も限りない。“言辞”ひとつが圧縮された人生の非常食のよう。この喩えを高峰さんは一蹴されるだろうけど。だからといって私を否定する事もないと、分かっている。2018/02/26
月華
2
図書館 新刊コーナーで見かけて借りてみました。読めば読むほど、高峰さんの強さを感じます。どのようにしたら、周りを恨むことなく、まっすぐ前を向いた生き方ができるのかと思いました。「母は私にとって反面教師だった」という言葉が印象に残りました。連載の関係か、同じことがかなり重複しているのは気になりました。2018/03/19
yoyogi kazuo
1
内容は素晴らしいが著者の他の本との重複が多いのが残念。2022/01/10
ケンチャンア
1
昭和の大女優高峰秀子さんの養女となった著者の秀子さん賛歌。年代的にはバリバリの女優だった頃の秀子さんは知らないが、昨年映画館イベントで「張込み」「馬」を鑑賞した。秀子さんの養母に対する悪し様な書き方には違和感。2018/04/06
永野間かおり
0
高峰秀子さんの厳しく凛とした姿勢には、それを裏付ける経験と知恵が随所に反映されているのだろうと思えるエピソードの数々。自分の軸をもつ人は強いし、そのまっすぐな姿勢が信頼と支持を集めるのだろうと思った。2024/04/23