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内容説明
「奴隷」哲学者エピクテトスからルターとエラスムスの「自由意志」論争にまで説き及ぶ本書は、「自由」をめぐる歴史上のピークをなす白熱の瞬間をとらえる一方、相異なる多様な考察をあえて並列するにとどめてもいる。今や人工知能が本格化し、監視社会化が進む時代を迎えて、自由の実態はますます不透明になりつつある。原理的な考察とともに、日本の近代を世界史の中で再検証し、自由の動的で、かつ多面的な姿を展望する。
目次
第一章 自由の二重性──自由は不自由の自覚にはじまる/第二章 資本主義の「自由」の破綻──共産主義という敵を失った自由主義/第三章 古代ギリシャの奴隷制度と現代アメリカ──自由と平等のパラドックス/第四章 「天皇」と「人類」の対決──コロンブスの米大陸発見からハル・ノートへ/第五章 「アメリカ帝国」の出現とヨーロッパの闇──国際公法を信じ過ぎた日本/第六章 開戦動機に関する日米間の認識の接近──「決断」以外に自由はなかった/第七章 ルター=エラスムス論争と近代日本の運命──自由は動く
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
花男
14
不自由の中に自由がある。 日本の歴史を振り返りながら自由の定義を考える。普段意識しないが、常に世界の位置を考える必要があると再認識2024/03/30
テツ
14
自らの自由意志の下での決定。全てがそう行われたのならば昨今よく耳にする自己責任論とやらも仕方ないのかなとも思うけれど、その状況の中で本当に全く自由に決定することができたのか。何にも誰にも縛られていない自由など本当に存在するのだろうか。ぼくも含めて自由であることを尊び、そうあることを目指すべきだと考えているある程度スタンダードな人間こそ、自由ということについてもっとしっかり考えなければならないんだろうなと思った。2020/05/18
oooともろー
2
日本の近代と西洋の近代。時代に左右される「自由」。歴史的状況に制約されるの中で「自由」はいかにありえるのか?「自由」というテーマで著者の歴史観を語っているだけと言う気もする。2020/01/20
イカ
2
個人の主体性を重んじるれば人間は完全な自由意志を持った主体ということになるが、現実には様々な構造や必然にしばられている。日本の戦争責任を考えるとき、国際情勢や歴史の流れという構造を重視すれば、日本は戦争を引き起こさせられたということになる。一方、国際世論は日本の主体性を重視して日本だけの戦争責任を追及してきた。どちらが正しいのかではない。こうした動きを歴史修正主義、右傾化などと即断するのではなく、イチかゼロかという極論が常識としてまかり通ってきたことに対する疑問、新たな視点の提案と受け止めるのがよい。2019/12/25
Akkikky
2
戦後日本はアメリカの属国戦略の元、自由主義、物質主義にどっぷりつかり、70年のおよそ3世代にわたり言うなれば「思考停止状態」に陥ってしまった。直近の保守右傾化はその振り戻しにも思えるが、自由主義やグローバリゼーションが実態的にも意識的にもここまで進んでしまった現状とはアジャストしない部分も多く、閉塞感の解決には至らない。その意味ではこの本も特効薬ではない。ただ日本人のモノの見方考え方の本質を日本史はもとより、周辺国を中心とした約500年の世界史の観点からも考察した稀有な課題認識を私たちに提供してくれる
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