内容説明
「開かずの蔵」と呼ばれた旧家の土蔵.そこで偶然見つけた紙綴りが,ひとりの学生を歴史家に変えた.紙背から伝わる,自由民権の息吹と民主主義への熱き思い.起草者「千葉卓三郎」とは何者なのか? 民衆憲法を生み出した歴史の水脈をたどる.
目次
目 次
はじめに
第一章 「開かずの蔵」からの発見
第一節 明治百年と色川ゼミ
一九六八年/バラ色論との対峙/開かずの蔵
第二節 自由民権の村・五日市
『利光鶴松翁手記』/勧能学校/深沢家の蔵書
第三節 憲法草案との出会い
いよいよ土蔵の中へ/知らずに草案を手に取る/ 「日本帝国憲法」って何だ?/急転直下のテーマ変更
第四節 憲法草案を読み解く
墨書史料の状態/どれとも一致しない!/幻の草案が発見される/なぜ同じ土蔵の中に?/嚶鳴社草案との比較検討
第二章 五日市憲法とは何か
草案の概要
第一篇 国 帝
帝位相続/摂政官/国帝の権利
第二篇 公 法
国民の権利/地方自治/教育の自由
第三篇 立法権
民撰議院/元老議院/国会の職権/国会の開閉/国憲の改正
第四篇 行政権
第五篇 司法権
第三章 憲法の時代
第一節 憲法への道
憲法はどう受け止められたか/ヘボクレ書生の書上の理屈
第二節 民権結社の取り組み
結社の時代/国会期成同盟の呼びかけ/各地での起草の動き/容易ならざる起草作業
第三節 五日市の民権運動
五日市学芸講談会/五日市学術討論会/討論題集
第四章 千葉卓三郎 探索の旅へ
第一節 卓三郎追跡
やり残した課題/雑文書に目を向けよ
第二節 戸籍を求めて
仙台へ/志波姫町へ/転籍先をたどる
第三節 子孫との対面がかなう
そして、神戸/敏雄さんからの手紙/病室での対面
第四節 履歴書の真否
卓三郎の足跡/砂上の楼閣/履歴書の足跡をたどる
第五章 自由権下不羈郡浩然ノ気村貴重番智──千葉卓三郎の生涯
第一節 敗者の生きざま
生い立ち/敗北経験/故郷を出る
第二節 ペトル千葉として
ニコライ堂での出会い/布教活動/明らかになる来歴/突然の変心/ラテン学校/初めて教壇に立つ/広通社
第三節 五日市へ
村は小なりといえども精神は大きく/民権教師として
第四節 五日市憲法の「法の精神」
逆境のなかでの起草作業/卓三郎死す/遺品の整理/浄書綴りのゆくえ/卓三郎の「法の精神」
終 章 五日市憲法のその後
「五日市憲法」命名のいきさつ/名称への批判/歴史の伏流にたどり着く
むすびにかえて
参考文献
付 録 五日市憲法草案
感想・レビュー
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樋口佳之
肉尊
きいち
さとうしん
みなみ




