岩波新書<br> 五日市憲法

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岩波新書
五日市憲法

  • 著者名:新井勝紘
  • 価格 ¥902(本体¥820)
  • 岩波書店(2018/10発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
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  • ISBN:9784004317166

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内容説明

「開かずの蔵」と呼ばれた旧家の土蔵.そこで偶然見つけた紙綴りが,ひとりの学生を歴史家に変えた.紙背から伝わる,自由民権の息吹と民主主義への熱き思い.起草者「千葉卓三郎」とは何者なのか? 民衆憲法を生み出した歴史の水脈をたどる.

目次

目  次
   はじめに

 第一章 「開かずの蔵」からの発見
  第一節 明治百年と色川ゼミ
   一九六八年/バラ色論との対峙/開かずの蔵
  第二節 自由民権の村・五日市
    『利光鶴松翁手記』/勧能学校/深沢家の蔵書
  第三節 憲法草案との出会い
   いよいよ土蔵の中へ/知らずに草案を手に取る/ 「日本帝国憲法」って何だ?/急転直下のテーマ変更
  第四節 憲法草案を読み解く
   墨書史料の状態/どれとも一致しない!/幻の草案が発見される/なぜ同じ土蔵の中に?/嚶鳴社草案との比較検討
 第二章 五日市憲法とは何か
   草案の概要
  第一篇 国 帝
   帝位相続/摂政官/国帝の権利
  第二篇 公 法
   国民の権利/地方自治/教育の自由
  第三篇 立法権
   民撰議院/元老議院/国会の職権/国会の開閉/国憲の改正
  第四篇 行政権
  第五篇 司法権

 第三章 憲法の時代
  第一節 憲法への道
   憲法はどう受け止められたか/ヘボクレ書生の書上の理屈
  第二節 民権結社の取り組み
   結社の時代/国会期成同盟の呼びかけ/各地での起草の動き/容易ならざる起草作業
  第三節 五日市の民権運動
   五日市学芸講談会/五日市学術討論会/討論題集
 第四章 千葉卓三郎 探索の旅へ
  第一節 卓三郎追跡
   やり残した課題/雑文書に目を向けよ
  第二節 戸籍を求めて
   仙台へ/志波姫町へ/転籍先をたどる
  第三節 子孫との対面がかなう
   そして、神戸/敏雄さんからの手紙/病室での対面
  第四節 履歴書の真否
   卓三郎の足跡/砂上の楼閣/履歴書の足跡をたどる
 第五章 自由権下不羈郡浩然ノ気村貴重番智──千葉卓三郎の生涯
  第一節 敗者の生きざま
   生い立ち/敗北経験/故郷を出る
  第二節 ペトル千葉として
   ニコライ堂での出会い/布教活動/明らかになる来歴/突然の変心/ラテン学校/初めて教壇に立つ/広通社
  第三節 五日市へ
   村は小なりといえども精神は大きく/民権教師として
  第四節 五日市憲法の「法の精神」
   逆境のなかでの起草作業/卓三郎死す/遺品の整理/浄書綴りのゆくえ/卓三郎の「法の精神」
 終 章 五日市憲法のその後
    「五日市憲法」命名のいきさつ/名称への批判/歴史の伏流にたどり着く
   むすびにかえて
   参考文献
   付 録 五日市憲法草案

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

樋口佳之

47
国民の教育権に連なるような条文があったのが印象に残りました。この時期だとどこから学んだものなのか?すぐれてオリジナルでは?2021/12/15

肉尊

26
開かずの蔵と呼ばれた深沢家土蔵から五日市憲法を初めて発見した著者。発見の瞬間は明治憲法の写しと考えたようだが、これは新発見の私擬憲法であった。特筆すべきは国帝も憲法を守る宣誓をさせ、崩御の際に勅令を国会が改正できる。国会は行政権に対する違憲審査権を有する。③教育内容の自由。④地方自治は国会においても侵害できないなど。地域特性や住民の自主性を重んじた君民共治の私擬憲法であった。著者の市民講座はこちらから。 https://www.youtube.com/watch?v=vmLUKaCHa-g&t=2686s2021/12/13

きいち

23
ゼミで行った調査で蔵の中から引っ張り出した文書の中から見出された憲法草案。明治の自由民権運動の高まりの中起草された。中心的役割を果たした「千葉卓三郎」とは誰か。どんな議論を経て、国民の権利と司法権の確立に眼目を置いた独自性の高い憲法案が出来上がったのか。発見以来50年、著者はその研究に取り組むことになる。最初は就職した市役所での仕事の傍ら、どんどん公私は乗り入れあって。折々に紹介されるその探索の過程、そして、明治のヨコのつながりと、今の著者の研究を通したつながりがリンクしていて、とてもワクワクさせられる。2018/06/03

さとうしん

13
五日市憲法の紹介とともに、著者による旧家の土蔵からの発見の経緯、そして起草者千葉卓三郎の人物像の掘り起こし、その千葉の家を受け継いだ子孫との対面の話が面白い。著者の指導教授色川大吉の、千葉の履歴書が発見された際の「それをそのまま鵜呑みにしてよいのか」「この履歴書が出てきたことで君の卒論は砂上の楼閣に終わった」という厳しい指摘や指導も印象に残る。大学四年の夏休みから始まる一人の研究者のライフヒストリーとしても読める内容になっている。2018/05/09

みなみ

8
KindleUnlimitedで読了。そもそも「五日市憲法」なる私擬憲法を知らなかったのだが(汗)東京経済大学・色川大吉ゼミ受講生だった著者が五日市町(現あきる野市)の深沢家の蔵から発見したという。まずこの発見がドラマチックだった。著者はそれまで準備していた卒論を捨てて、この私擬憲法に取り組む。そのまま一生の仕事になってしまうのだからすごいものだ。憲法の内容が前半、後半はこの憲法をつくった中心人物の千葉卓三郎の生涯を追いかけていく。これはたまたま発見されたけど土蔵に眠ったままの書物もあるんだろうな……2025/11/17

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