内容説明
李白も白居易も「薬」を作っていた!
古代中国では、多くの皇帝や李白・白居易などの文人をはじめ、多くの人々が「薬」(金丹)の製造を試み、服用した。それは時に死に至る危険な薬であった。本書では古代中国の薬物概念と、それによって引き起こされた愚かしくも痛ましい薬物中毒を明らかにする。
感想・レビュー
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いぬかいつまき
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西洋医学と対を為し、現代なお漢方薬として生きる東洋医学。その発展の契機には秦の始皇帝に代表される仙薬嗜好が存在した。後漢の最初の本草書『神農本草』においてもその根底には道教の神仙思想があり、それを増補した『集注本草』の編者・陶弘景は実際道士であった。 しかしその弊も多く、殊に老子を祖とする唐代では金丹服用がブームとなり、多くの皇帝や文人が中毒死するに至る。名君と呼ばれる玄宗や、詩仙・李白とて例外にあらず、むしろ積極的に練丹術を嗜んだという。世界をリードした中国科学の停滞の一因には、この迷信もあるのだろう。2011/12/30