内容説明
黒船の来航以来、世情は混迷を深めるばかり。薩摩はいち早く財政を再建し、雄藩としての地歩を固めていた。幕政改革の舵取りを期待された英明の藩主・島津斉彬に見出され、西郷吉之助(隆盛)は下級武士ながら国事に奔走。だが、斉彬が急逝し、守旧化する藩論。そして吹き荒れる安政の大嶽の嵐。西郷は奄美大島での隠棲を強いられていた。維新最大の功労者、波瀾の半生を描く大河歴史小説第1巻。
目次
愛加那(一)
愛加那(二)
愛加那(三)
遠雷
日照雨
別れ道
霹靂
暗雲去来
死中の生
永良部の花
蛟竜雲を呼ぶ
回り舞台
猛禽の棲みか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
姉勤
26
西郷隆盛というひとは、表題の通り吸い込まれるような眼をした人だったようだ。賢君、島津斉彬に近かった故に、彼の急死によって政敵より警戒され、2度にわたり流罪となり、奄美大島、沖永良部島に遠島。西郷の不遇かつ雌伏の時間をたっぷり一巻を費やして描かれる。それゆえに、西郷のひととなり、気性、知恵、そして「徳」を、他の作品より強く感じる。罪人を見る島民の視線はやがて大人(ターレン)を仰ぎ見る眼差しに変わり、一度は島民として死ぬ覚悟を決める。しかし時代は風雲急を告げ、薩英戦争をへてついに藩政の要人として召喚される。2017/12/27
ナナメ
0
以前から西郷には興味をもっていたが、直接な主人公にしたものは初めてだと思う。今まで持っていた凄い人だけど我儘?往生際が悪い?等のイメージを覆してもらいたいです。ただ資料の記載は解説が少ないのと私の学がないのとで物語の中折れ感が否めないのがちょっと残念です。2013/05/17