内容説明
就職を前に何も変わらない灰色の日々。あたしは何気なく中学の卒業文集を開き、『母校のとある教室にいじめの告発ノートが隠されている』という作文を見つける。それを書いた元同級生が自殺したと知ったあたしは、その子のSNSのパスワードを暴いてログインし、その子の名でSNSを再開した。数日後、別の元同級生が謎の死を遂げる。灰色の日々に、何かが始まった――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
黒瀬 木綿希(ゆうき)
131
何気なく中学の卒業文集を開き、『いじめの告発ノートが隠されている』という作文を見つけた千弦。それを書いた同級生は自殺しており、とある事情でパスワードを暴いたその子のSNSを再開するとまた別の同級生が謎の死を遂げた。事の発端は魔が差した、ひょっとしたら、そんなつもりはなかった、などという人間のエゴが生み出した昏い感情。唯一のまともな人間は冷たい檻で真実を閉ざし、表に出てくることは恐らくない。スピーディな展開でイッキ読みでした。2020/11/17
佐島楓
65
題名からだんだん推測がついてくるが、幾つかの仕掛けがあって楽しめた。惜しまれるのは人物像が薄くページ数もすくないところ。2018/10/02
さばかん
64
言うほど衝撃か?ラスト10ページを先に読む奴なんておらんやろ……。 いや~しかし面白かった。表紙の二人が良いキャラしてる。大好き。またこの二人の話が読みたい。2018/11/28
ami*15
53
千弦とミユがお互いの才能を認め合うところに魅力を感じられ、ダークな作風やキャラクター設定も凄く好みな作品でした。全ての発端となった「田中奈美子」という自殺したはずの人物とは一体誰なのか?という謎を軸に千弦の日常では奇妙な出来事が次々に起きる。物語のキーパーソンであるミユがとにかくインパクトのあるキャラクターで、彼女の持つ才能には私も千弦と同じように惹かれていきました。ミユの才能はとても変わったものであったけど、一方でいわゆる奇人の彼女にない千弦の才能を羨むところはとても人間らしくて素敵だなと思いました。2018/09/25
Junichi Yamaguchi
52
『あの頃のあたし』… 久々、乙野さん。 短いページ数の中に必要な事だけを詰め込んだような濃厚な作品。 この先の2人をまだまだ見たい衝動に駆られる。 続編込みで次作にも期待したい。。2018/11/13