新潮文庫<br> 負け逃げ(新潮文庫)

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新潮文庫
負け逃げ(新潮文庫)

  • 著者名:こざわたまこ【著】
  • 価格 ¥693(本体¥630)
  • 新潮社(2018/09発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101213217

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内容説明

国道沿いのラブホテルのネオンだけが夜を照らす村を、自転車で爆走する高校生の田上。ある晩ラブホ帰りの同級生、野口と遭遇した。足が不自由な彼女は“復讐”のため、村中の男と寝るという。田上は協力を申し出るが……。出会い系、不倫、家庭崩壊、諦めながら見る将来の夢。地方に生まれた全ての人が、そこを出る理由も、出ない理由も持っている。光を探して必死にもがく、青春疾走群像劇。(解説・重松清)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

いつでも母さん

196
連作6話。最初の話で『R-18文学賞』読者賞受賞されたんですね。そこからこの『負け逃げ』までお見事だと感じました。今、閉塞感漂う土地で生まれ育ち暮らす私がかつて高校生だった頃の私を思うとき、先生や大人に抱いていた感情がふつふつと思い出されてならなかった。その頃の大人に今の私はなっているのだろうな。若さ故のギリギリとした『なにか』は善悪の紙一重。踏み出すか留まるか。クラスメイトや担任をとりまく描写も上手い。何気ない日常にこそ人の本質は見え隠れするのだ。解説の重松作家も好い。先の楽しみな作家が増えました。2018/06/11

おしゃべりメガネ

156
やっぱり「R18文学賞」はいいなぁ。他の作品では読めない独特なジャンルというか、雰囲気を確立してますね。主人公は右足が少し不自由な女子高生「野口」さん。そんな彼女は'復讐'のために村に住んでるあらゆる男性と寝るという。そんな彼女に引き寄せられる不思議な雰囲気の青年「田上」。そんな二人を中心にして、周囲の人びとからの視点もからめた連作集です。中でも特に印象的だったのは同じ学校に勤める先生同士のちょっとねじれた'恋愛'です。歳を重ねて中年となった二人の醸し出す雰囲気がとてもリアルで、この作者只者ではないです。2019/05/06

相田うえお

131
★★★☆☆18113 初読み作家さん。R-18文学賞受賞作品。田舎を舞台にした感性豊かな 心の作品でした。人の思いは色々ですね。ポツポツと奥深い文章表現あって独特な空気感になったりします。田舎... 狭い地域ってあっという間に噂が広がるけど、今じゃ 都会と殆ど変わらない面も多いですよね。読友さん情報で知った作家さんですが、今後の活躍が気になります。別ジャンルも読んでみたい!贔屓したい作家がまた ひとり増えたかな?(いや〜、またよしさんの描いた本ジャケの女学生は野口さんだったのかぁ〜!素敵な絵ですね。)2018/12/22

takaC

103
辻村深月・窪美澄・三浦しをん・重松清の4人が推してる帯を見て買って読んだ。図書館本処理の合間に読んでたため「Ⅰ僕の災い」と「Ⅵふるさとの春はいつも少し遅い」の間が半月くらい空いてしまい良くなかった。R-18文学賞への応募時からこの構成を描いていたのであればこざわたまこ末恐ろしい。2018/05/19

ででんでん

101
感想が言葉になりにくい。とてもよかったけれど、連作の各篇で描かれるそれぞれの中心人物からその周囲の人物まで、共通して持っているような気がする閉塞感、やりきれなさがなかなかに深くて。特に妙子の章は、娘や夫との関係など、息が詰まりしんどい。娘から逃げるような形にはなってほしくないと思ってしまう。それぞれにみんな何かしらの突破口を見つけようとしているなか、小林くんや野口さん、田上くんたちが光のほうを向いていくのが感じられたのには救われた気がした。タイトルも、うまいなあ。2018/11/17

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