内容説明
胎児の命を守る“天使の代理人”という組織を運営する桐山冬子。突然銀行でのキャリアを捨て精子バンクを利用する出産を決意した川口弥生36歳。妊娠が分かった直後、人違いで中絶させられた佐藤有希恵26歳。一時は中絶を考えたが産み育てることを選んだ佐藤雪絵20歳。それぞれの人生と“天使の代理人”が交錯した時、奇蹟が起ころうとしていた。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とん大西
103
正直なところ、上巻では読みごたえを感じつつも、大上段からの正論に多少怯んではいました。「小さな命を救いたい」-下巻でも確かにメッセージのトーンは変わらない。ただ、複雑な胸中を抱きながら出産や堕胎にのぞむ彼女たちの横顔に息を呑んでしまう。多くを語ってはいない。幸せか不幸せとか、彼女たちの行く末とか。想定していたラストシーンではあったが、意外でもなんでもない最後の一行で涙がポロポロと…。…ん、わるくないと思います。2020/05/23
Rin
76
妊娠と出産、そして育児。中絶というテーマから色々なことを考えるきっかけを貰える。中絶をなくすだけではなく、子どものこれからも考えないといけない。とても悲しいけれど、虐待やネグレクトの問題だってある。だから安易に中絶は絶対に反対とは言えない。そのことも作中の偽善はまだいいけれど、「独善」はだめだ。という言葉で納得させられた。妊娠・中絶を簡単に捉えず逃げずに向き合うべき。産みたくても産めない人もいる。なによりも新しい命に対して真摯に向き合うべきだと。とても深いテーマで読んでよかったと思えた一冊でした。2017/04/11
TAKA
53
独善はいけない。自分だけが正しい、そう思うことが一番危険。まわりが見えなくなるから。中絶に対する社会の認識が変わってきているのは、時代の流れであり、「天使の代理人」はほんの小さな役割を担ってだけ。出生率より中絶の方が多いのはびっくりしたし辛い話だね。そりゃ少子化にもなるな。女性の地位があがったからとか産んで当たり前だとか云々より個人のモラルの問題だと思うけど。授かるということがどんなことかを真摯に考えるべきだと。2020/01/15
みも
44
別れた元妻と僕が、まだ婚姻生活を営んでいた20年ほど前の話である。彼女は僕達の子である長女を帝王切開で出産したが、その初産以前に流産を経験した。彼女が告白した、部分麻酔ゆえの「掻爬の不快感と例えようのない罪悪感」当時の未熟な僕が、真に彼女の深層憂愁を理解し得たかと問われれば、極めて心許ないと言わざるを得ない。出来得る限り想像力を逞しくさせ彼女の悲嘆に寄り添い、生まれ来る筈だった貴い生命が失われたとは思っても、それはどこか人間の本能的な部分からは隔絶した、表層的なところで弱々しく呟いていた気がする。続き➡2017/04/15
佳乃
31
重い内容だったな。けど、中絶するときの女の人の心情は、男の人にはわかりえないだろう。最後は自然と笑みがこぼれるものでよかった。2015/02/15
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