内容説明
2017年末に富岡八幡宮で起きた前代未聞の事件。元宮司の弟が宮司の姉を刺殺するという凶行の背景には、不透明かつ放漫な神社経営、神社本庁との軋轢などがあり、いずれも神社界の危機を象徴するものだった――。そもそも神社とはどのような場所で、何を祀っているのか。さらに、その収入源や経済格差、神社本庁の正体と歪な権力構造、「日本会議」との関係など、御簾(みす)の裏に隠された“暗部”を宗教学者が炙り出す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
59
【神社で何が起きているのか】収入源や経済格差、神社本庁の正体と歪な権力構造、「日本会議」との関係など、御簾の裏に隠された“暗部”を有名な宗教学者が新書で抉る。<神社は神道の施設であり、神道の歴史は相当に古い。神道は日本で唯一の土着の宗教であり、日本の伝統的な信仰として受け継がれてきている。その神道や神社が、今、もしかしたら、その歴史の上で最大の危機を迎えようとしている>とし、<20年後には、人口減少に伴って、40%の神社が消滅するのではないか/神社の間には格差が生まれ、それは年々拡大してきている>と――⇒2023/12/25
ヒデキ
47
2017年の富岡八幡宮の事件を切口に神社の経営とそれを束ねる神社本庁の現状と本音と建て前の存在意義を述べていますが、著者の語りを読んでいくと果たして神社・神道は、宗教なのだろうかという疑問を持ってしまいました。 例えば、伊勢神宮をメインに据えた神社本庁の構成団体は、それぞれの神を祭る神社である。 それは、信仰に基づく宗教活動というよりも利権と既存の権益を維持しようとする政治活動にしか思えなくなってきます 神話より先にできた神社というポジションが、宗教としての神道を判りにくくさせている気がします2022/12/05
おさむ
34
昨年末に起きた、富岡八幡宮の宮司殺害事件を導入部にして、神道界の歴史や課題などをまとめた新書。神道にも仏教の宗派のような分派があること、神社本庁からの離脱騒動は実はちょくちょくあること、靖国神社は内務省ではなく陸軍省と海軍省の所管だった為に神社本庁に包括されなかったこと、神社界は戦後に否定された事柄を復活させるために政治運動を展開してきたこと、など興味深い話が多く、勉強になりました。結局、明治政府が事実上の神道国教化を図り、戦後はその反動で低迷期が続いた。スピリチュアルブームとされる今はどうなのだろう?2018/08/31
gtn
28
昨年の富岡八幡宮宮司殺害事件により、同宮のみならず神社総じて初詣の参拝者が激減したとのこと。また、神社本庁傘下の神社は、神宮大麻頒布ノルマ、特別納付金や神道政治連盟への特別寄贈金の上納等徹底的に搾り取られ、悲鳴を上げている。この構図、あのアウトローな組織とよく似ている。将来、本庁からの離脱が進むことは間違いない。2018/11/07
らっそ
13
思いがけず、神道の歴史まで概観できたので得した気分。社殿がいつ頃設けられるようになったか、はっきりしたことが分からない2019/04/25