内容説明
これはわたしが紡いだ、あの夏から続く“願い”の物語。
そして――
これは僕に届いた、いつかの春へと続く“希望”の物語だ。
「わたしたちは最後の瞬間、お互いに向かって同じことを願ったの。会いにきて、名前を呼んでって。だって、それは――」
大学生活も終わりの足音が近づいてきた春の日に、僕は見知らぬ少年に声をかけた。その横顔はやけに真剣で、切実で、かつての自分に重なった気がした。
こんな風に新たな出会いを紡ぎ、僕は明日を歩いていく。いつか失った“願い”を手に、幸のように笑う“誰か”のもとへ。再び辿りつくことを祈りながら。
電撃文庫MAGAZINEに掲載され、好評を博した短編3本に加え、書き下ろし中編『Contact.214+1 僕たちの辿りついた場所』を収録した待望の続刊が登場!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ami*15
50
メインストーリーの前作では「儚い」だとか「切ない」といった言葉が思い浮かんだのですが、今作では「幸福」や「希望」と前作に比べると比較的前向きな言葉が読後思い浮かびました。短編4本は物語の基本的な世界観を知らなくてもそれなりに楽しめる印象ではありましたが、由希の境遇などを知っているとより深く味わうことができるエピソードだったし、『僕たちの辿りついた場所』のエピソードは本編のその後の話ではあるけどどこか由希の面影を感じさせられ、全体的に今作は幸せが溢れていたかのような物語でした。このシリーズのタイトルには→2018/08/15
ひかはる
38
昔の話と、214回の恋のあとの話。きっと忘れてしまっていてもユキの残滓は残ってるんだなぁ。記憶よりももっと深い所で覚えているんだって思えた。最後の声はやっぱり…?2019/05/22
Akihiko @ VL
37
葉月文さん2冊目の読了。Hello,Hello and Helloの後語りをするアンサーノベル。切なさに全振りした本編とは違い、希望や願いを感じさせてくれる内容でした。ただ、後語りするにしては長編過ぎるうえに、本編の補完にしては弱いというのが正直なところ。中途半端な掘り下げで、立つ鳥が後を濁していった形だ。本編の3〜4年後を想定して構成させられていましたが、個人的には婚約前夜、もしくは数十年後の想いを一部描いて欲しかったです。2021/08/26
まりも
32
これは雪溶け後の春の物語。piece of mindという副題の通り、ユキとの想い出や、あの頃にあった事を描きながら本編のその後を描いていく今作。それは自分が思い描いていたような全ての理不尽をひっくり返して、2人仲良く想い合う。そんは御都合主義のかたまりみたいなハッピーエンドでは決してなかったけど、一つの希望と救いがある。この作品らしい心に残る結末だったように思う。彼と彼女が辿ってきた道が光溢れる明日へと続きますように。その願いを胸に抱きながら、今はただこの感動に浸りたい。本当にいいものを読ませて貰った。2018/08/12
かわゆきか
19
前巻の感想はとても素敵で、読み終えて幸せだけど切なく儚い印象だったけど、今回もそんな感じ。過ぎ去りし青春の思い出的な。2018/09/29