内容説明
不登校の時間を支えたもの。
著者の小林凜は現在高校2年生。
凜は、小・中学校時代、壮絶ないじめにあい、
学校にも守ってもらえず、ほとんどの時間を不登校で過ごした。
そんな中、9歳の時「朝日俳壇」に初投稿、長谷川櫂氏の10句に選ばれる。
その後も次々と入選を続け、
11歳で出版した『ランドセル俳人の五・七・五』は、ベストセラーとなる。
現在高校生として、はじめて学校生活を楽しむ日々を送っている凜は、
本書で、孤独と向き合った小中学生の日々、
家族に支えられ、動物たちに愛情を注いだ日々を描き出した。
凜の感性を磨いた日々は11編のエッセイと79句になった。
本書を読んで、子どもの不登校を見守る母親は
「家族がこういうふうに接してあげればよいのだと知りました」
という感想を寄せてくれた。
凜を見いだした俳人の長谷川櫂氏は、
巻末に「闘う人」というタイトルで寄稿し、こう評する。
「孤立無援のただなかで凜君は俳句に出会い、俳句を作りつづけてきた。
これらの句は小さな動物、小さな植物を虐げるものへの
抗議と抵抗であることを忘れてはならない」。
子どもの心に寄り添うすべての人の心に響く1冊です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あじ
38
小学校中学校での壮絶ないじめに抗いながら、ひた向きに生きてきた高校生俳人の小林凜さん。彼の心の鏡面に息を吹きかけ、磨きあげてくれた愛しい生命たちを見つめる。強く美しい若人の精神に触れられる一冊だ。【購入本】2018/08/14
Sunny
4
一万円選書で選んでいただいた本② 自分ではおそらく一生手に取ることのなかった一冊でした。学校で働いている者の一人として、つらい学校生活を送らせてしまったことの責任のようなものを感じてしまいます。ただ、あたたかい家族のもと自分らしく生きて活躍しておられること、素晴らしいと思います。2022/10/08
きわーの
2
NHKの特集を見て、俳人である著者のことを知った。特集でも本書を読んでも感動して涙が。いじめによって不登校になった著者を支えてくれる、周りのありとあらゆるもの。それは家族や周囲の人、小さな昆虫や近所の自然。温かく優しく著者を包んでくれる。著者は、そんな身の回りのささやかな出来事を、俳句として表現している。ひとつひとつの出来事を大切に表現したさり気ない、優しい俳句。この若さでここまでの観察力や表現力を持ちえた理由の一つに不登校があるとしたら、その苦しみはどれだけだったんだろうと胸が締め付けられる。2018/09/23
FW-U1P551
0
最近、俳句を始めようと思っているので、俳句について書かれた本に興味がある。2018/11/07
okatake
0
ランドセル俳人も高校2年生。ある読者が彼に合うだろうと推薦してくれた学校に進学され、楽しく学生生活を謳歌しているとのこと。これも、彼が俳句と出逢い、積極的に発表していたからこそ。 彼にとって生きるとは、「抗う」こと。彼の今までの人生から生じた言葉であるが、今彼はしっかりと「抗い」生き抜いています。 「待て、しかし希望せよ」は『モンテクリスト伯』の言葉だそうですが、いつまでも、つらい苦しいときが続くわけではありません。だからこそ生き抜くのです。2018/11/04