内容説明
動物の中で,最も精密で複雑な建築物をつくるクモ。網と呼ばれるその建築物は,エサを獲るためのもので,クモが自ら紡ぐたんぱく質でできた糸を組み合わせてつくられている。
クモは1日のほとんどの時間を網の上でじっとエサを待って過ごす。しかし,一度エサがかかるとすばやく動き,これを捕まえようとする。その間およそ10秒。網は,クモとエサとの10秒間の攻防の舞台なのだ。
良い狩り場を選ぶ方法,エサをおびき寄せる仕組み,優れた糸の性能とそれを網に組み上げるやり方が相まって,クモと網が一体のシステムとなることにより,エサを捕らえることができる。
本書は丸々1冊を費やして,この10秒間を徹底的に解き明かしていく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
まんぼう
5
ハエトリやアシダカなどの徘徊性のクモのほうが好きだったのだが、この本で造網性のクモの好き度が急上昇。特に印象的だったのは、クモが状況や経験によって網の張る場所、大きさを変えているということ。さらに、網がクモの感覚拡張器官であるということ。やはりクモにも高度な知性があるのだ。ヒトが持つ知性や意識だけが唯一ではない。待ち伏せなのにそんな派手な体色でいいのか?とか、獲物とそれ以外をどう識別しているのか?などの疑問も解けてスッキリ。現象の観察から仮説、実験、検証のプロセスがまた面白かった。2025/11/12
テト
3
多様な生き物の中でも、ただただ待ち続けるクモがどんな工夫をして生き残ろうとしているのか、おもしろかった。待つことが出来ればすべて上手くいく、落ち着いて待てるようになるための色々な仕組みが炙り出され、それらを機能させている生物の仕組みの一端を知ることができた。2021/06/26
KKKK
1
タイトルが美しい 小さく限定されたリソースでどう効率的に餌を取るか そして金がない大学研究室がどう創意工夫で研究を進めるか 参考になりました2021/10/31




