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内容説明
かつて農商務省の官僚だった柳田國男は日本の農業の弱点を見抜き、改善策を次々打ち出した。が、その思いは時の体制に葬られ、志を継ぐ後輩たちも、やがて忘れさられた。国際競争力はおろか、高い関税で命脈を保たれる今日の農業。近現代を貫いて横たわる農政の病とは何か? 柳田が見出した希望の策を現代に蘇らせる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かんがく
14
民俗学者として著名な柳田の、官僚時代の農政論にスポットライトを当てた本。著者も元農政官僚である。戦前の寄生地主制に対し、中農主義を掲げた柳田の論を紹介するとともに、農地改革後は地主に代わって農協が農村を支配するようになったと痛烈に批判。葬り去られた柳田の農政改革論を今こそ採用し、高関税、減反、農協に大きく影響される日本の農業を大きく変えるべきであると提言。今まで触れてこなかった分野であるが、日本社会や政治との関係の中から農業について深く知ることが出来て良かった。2020/05/05
うえ
8
「柳田の数々の農政に対する思想、主張は、柳田や新渡戸が主宰する郷土会の若手メンバーである農政官僚、石黒忠篤に受け継がれ、戦前の農林省の主流な思想に発展していった。石黒が小作問題に関心を持つようになったのは、1907年に水田の小作料物納制についての柳田の講演を聞いたことがきっかけだった…石黒が取り組んだ大きな問題は、小作人の解放と農業恐慌対策である。石黒は昭和初期の農業恐慌に対処するため農山漁村経済更正運動を事務次官として指揮している。これは9年間にも及び、農政史上農地改革とならび称される農政運動となった」2021/03/19