内容説明
生の意義を把握するためとあらば悪魔に魂を売りわたすことも辞さぬファウストにとって自己救済はいかにして可能だったか.――ゲーテ(一七四九―一八三二)は若くしてこの大作を書きはじめ,完成までにほとんど全生涯を費した.そして脱稿のあと「私の今後の生活は全くの贈物のような気がする」といって深い悦びを語ったという.
目次
目 次
献ぐることば
舞台の前曲
天上の序曲
悲 劇 第一部
夜
市 門 の 前
書 斎 (一)
書 斎 (二)
ライプチヒ市のアウエルバッハの酒場
魔 女 の 厨
街 路
夕 べ
散 歩
隣の女の家
街 路
庭 園
園 亭
森林と洞窟
グレートヘンの部屋
マルテの庭
井戸のほとり
市壁の内側に沿うた小路
夜
寺 院
ワルプルギスの夜
ワルプルギスの夜の夢
曇 れ る 日
夜
牢 獄
解 説
一 ファウストの伝説と文学
二 ゲーテの『ファウスト』の成立
三 『ファウスト』第一部の構想
四 『ファウスト』第二部の構想
註
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
esop
77
学者ファウストと悪魔メフィストフェレスの小気味の良いテンポで対話を繰り広げ、メフィストフェレスが結構ファウストに振り回されてるのが面白い。 人間は努力をする限り、迷うものだ。確かに。 天才、ゲーテが描く大作。なんと24歳から書きはじめて82歳で書き下ろしたという。 さらさらっと読んでしまって申し訳なさが、、、 面白いけれど、時代背景や注釈がないと、歯が立たない。 再読必至 2部へ。2025/04/20
Y2K☮
59
文学界の太陽にしてダ・ヴィンチと並ぶ比類無きパーフェクト・ヒューマン。そんな著者が24歳で書き始め、82歳で完成させた一大巨編(翌年に手を入れ、直後に没した)。ダ・ヴィンチとモナリザの関係を彷彿とさせる。詩のパートの荘厳な訳は原文の感触に忠実なのだろう。押韻の再現が難しいならリズムの響きだけでもという真摯な苦悩が伝わる。物語は意外とシンプル。グレートヘンとの悲愛は殆どウェルテル。一方で世の真理を追い求める術をもはや悪魔との契約にしか見出せぬファウストにただ歯噛み。その輝きには羨望すらおこがましい。二部へ。2016/09/04
かごむし
44
いつかは読まなければならぬと思い、20年以上本棚に眠らせていた本である。世界最高峰の、という枕詞にびびって手を出せずにいたのだが、読んでみればとても読みやすい戯曲で、かえって困惑している。詩人ゲーテの旺盛な探究心、求道心から紡がれる言葉は美しく、印象に残る場面やセリフがたくさんある。物語の方は、テンポよく進んではいたのだが、これは第一部で終わっていいものではない。第二部は、第一部刊行から20年以上を経て刊行された。この間にファウストが、否、ゲーテが見つけたもの、語ろうとしたものを楽しみに待ちたい。2017/11/30
マンセイ堂
42
難解な表現が多分に含まれ、読者の度量をゲーテに量られているように思いました。語句解説のページを行ったり来たりで、読むスピードも上がらず、解説を見てもよく分からず、眉を釣り上げて「うーん」と唸ってばかりでした。とにかく第二部を読もうと思います。2013/08/27
姉勤
34
メフィストフェレスという悪魔と、契約したファウスト博士。ドイツ民話をゲーテが戯曲化。なんか、ドラえもんとのび太のような関係性を連想した。契約によりハタチに若返った途端JCの年頃の少女に懸想。惑わし、拐かし、関係を得る。偽りでも愛は成り、子を生すが、現世の相愛は真情であっても、彼女の信仰心を覆せず弾かれ、悲劇を招く。戯曲ゆえ、合間に挟まる詩には、隠喩、引用、象徴、格式や、文化が多分に含まれるが、解説という解読鍵がなければ、ノイズに過ぎず、とても読み易い代物ではなかった。背徳は気持ちいい、殉教はそれ以上か。2024/09/30
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