内容説明
文学作品や思想史上重要な作品を引用しながら、ボッティチェルリの《春》に描かれた美しい女神の影が示唆するところを読み解き、ヴァティカン宮殿の署名の間やメディチ家の礼拝堂といった傑作を輩出したその精神的風土と芸術のからみあいを考察する下巻。版を新たにした多数の挿図とともにルネサンスの明暗を明快に説き明かす名著。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ロビン
19
下巻では、ボッティチェリの<春>や<ヴィーナスの誕生>、ティツィアーノの<聖愛と俗愛><フローラ>、ベルリーニの<神々の祝祭>などに描かれている人物やモチーフについてのイコノロジー(図像解釈学)的な謎解きが展開される。<ヴィーナスの誕生>には<キリストの洗礼>の基本構図が使われ、ダブル・イメージの効果を生んでいるであるとか、これまで何気なく観ていた絵画の中にこれほどまでに豊かな意味や思想が込められているとは思わず、驚きの連続であった。ルネサンス時代の画家とパトロンの関係なども知ることができて勉強になった。2022/01/17
MUNEKAZ
13
下巻もイコノロジーを駆使した読み解きが続く。描かれているもの全てに理由があり、しかも二重三重に意味付けがある。なんとも衒学的な説明の連続に疲れるところもあるが、ミステリーのようなスリリングさもある読後感。また芸術家本人だけでなく、パトロンの意思も考慮に入れることも重要。最後に出てくるティツィアーノのエピソードなどは、スポンサーの意向を受けつつも作家性を発揮するアニメ製作者の様でもあり面白い。せめぎ合いのあるところに傑作が生まれるのである。2022/09/20
ジュンジュン
7
引き続き下巻は、ボッティチェリの名画「春」と「ヴィーナスの誕生」を中心に、謎解きのような作品解釈(あとがきより)を展開。最終章「ベルニーニの神々の祝祭」は、ほんとにミステリーの謎解きのようで面白かった。2019/11/10
Fumoh
6
下巻になってくると、そもそもの「ルネッサンスの光と闇」という主題は薄れてしまって(連載記事だったようで仕方ないですが)、それにかこつけたルネッサンス絵画の、いつものモチーフ分析と記録の照合になっていってしまいました。それも企画としては面白いですが、上巻と同様、我々は資料を確かめる手段をほとんど用意されていないため、高階先生の暴走=独り言のようになってしまったのが残念です。上巻はまだルネッサンスの裏面を見ていくという主題に沿っていたので、まだ面白いですが、下巻はいつもの高階先生です。ただルネッサンス絵画は、2025/03/30
takakomama
5
美術史の先生のお勧め本。愛と美、ヴィーナス、神々の祝祭。1枚の絵画を細部まで読み解くことは、奥が深いです。 人気のある画家に注文したいパトロンたち、注文を受けたい新進の画家たち、どちらにも競争があってたいへんそうです。2021/06/28
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