内容説明
1983年東京。波田は、アルバイトで生活費を稼ぐ20歳の大学生。金欠で飢えている日、高給の街頭調査のバイトを見つける。アンケートを取り意識調査を行う研究所は羽振りがよく、予想外の大金を手にした。優秀さを買われ契約社員となった彼は、所長が正義のためという怪しい仕事に……。バブル前夜、罠にはめられた青年が、正義も悪も踏み台にして孤独な闘いに挑む姿をリアルに描く。ピカレスク・ロマン。
目次
第1章 見えない明日
第2章 飛躍
第3章 拉致
第4章 疑念
第5章 孤独な追跡
第6章 小物たち
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
337
東京という街に絶対的な価値を置く、ある地方出身の大学生が、時代に呑まれて成長(といっていいのか)して行くピカレスクもの。彼のふてぶてしさや、「女を抱く」などの表現が、あまり堂場さんらしくないなぁと思いながら。モヤモヤとした読後感を含め、これは、同時代を東京で生きた、わたしたちへのオマージュ作品なのだろう。2018/07/18
じいじ
114
面白かった。新しい堂場小説との出会いを感じた。将来に漠然と夢を描く青年が、悪党の罠にハマり、それらに立ち向かう…話。舞台は、1983年の東京。バブル前夜のまだ、携帯電話も普及前でテレカの時代。この二十歳の青年に、50余年前の自分を重ねて読みました。貧乏学生の金銭感覚、社会認識の変化、そして正義感が実に巧く描かれています。解説の平松洋子氏の「これは著者の異色作」に同意です。2018/06/20
Syo
46
これまた既読感満載。 けど面白い。 田舎から出てきた 早稲田かどこかの大学生。 街頭アンケートの 才能を認められ…。 なかなか。2019/11/28
ユザキ部長
43
グレイじゃなくブラック。黒いけど、野心て若いからこそ持てるんだろな。あぁでも話の全体がボヤけたままだからグレイなのか。2022/08/30
ペーパーピーポー
28
この物語は面白いのか否か? まさにグレイ2019/10/27