角川選書<br> ノーベル文学賞を読む ガルシア=マルケスからカズオ・イシグロまで

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角川選書
ノーベル文学賞を読む ガルシア=マルケスからカズオ・イシグロまで

  • 著者名:橋本陽介【著者】
  • 価格 ¥1,760(本体¥1,600)
  • KADOKAWA(2018/06発売)
  • ポイント 16pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784047036420

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内容説明

ノーベル文学賞受賞から、ベストセラーはカズオ・イシグロ一色に。しかし、受賞作のうち何作読んだことがあるだろう? 古今東西の受賞作を読み直し、多様な作品たちの「面白さ」を作る仕掛けに迫る!

〈目次〉
はじめに
ノーベル文学賞を読むということ

一九八〇年代
一 章 めくるめく勘違い小説『眩暈』            エリアス・カネッティ
二 章 ラテンアメリカと魔術的リアリズム         ガブリエル・ガルシア=マルケス
三 章 アラビア語圏のリアリズム              ナギーブ・マフフーズ
 
一九九〇年代
四 章 「黒人」「女性」作家                 ト二・モリスン
五 章 「情けないオレ語り」と日本文学         大江健三郎

二〇〇〇年代
六 章 中国語としての表現の追求            高行健
七 章 ワールドワイドで胡散臭い語り      V・S・ナイポール
八 章 「他者」と暴力の寓話              J・M・クッツェー
九 章 非非西洋としてのトルコ           オルハン・パムク
十 章 共産主義体制下の静かな絶叫         ヘルタ・ミュラー

二〇一〇年代
十一章 ペルー、あるいは梁山泊      マリオ・バルガス=リョサ
十二章 中国版「魔術的リアリズム」            莫言
十三章 信頼できない語り手             カズオ・イシグロ

終わりに
主要参考文献
受賞者の出身国
索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アキ

64
1980~2010年代のノーベル賞作家の作品を紹介している。エリアス・カネッティ、ガブリエル・ガルシア=マルケス、ナギーブ・マフフーズ、ト二・モリスン、大江健三郎、高行健、V・S・ナイポール、クッツェー、オルハン・パムク、ヘルタ・ミュラー、マリオ・バルガス=リョサ、莫言、カズオ・イシグロの計13人。世界のあらゆる地域から選ばれている。共通の特徴として①負の力をプラスに転化する内容②エスニック性③越境性④小説言語など。文学は言葉の芸術。この本では特に小説言語と小説の構造を考察していて世界文学の潮流を知れる。2019/09/10

藤森かつき(Katsuki Fujimori)

25
ノーベル文学賞は、独自の小説言語を持つ作家を重視している、ということで。何らかの意味で普遍性を持ってる受賞者の特徴などが紹介されている。1980年代から2000年代まで13章で章ごとに約1名。ノーベル文学賞は文化的に越境している作家・作品が好きで、同じ傾向の作家は選ばないけれど、選ばれた作家の作品は確実におもしろい、と言われると、やはり読んでみたくなる。特に読みたいと思ったのはガルシア・マルケス「百年の孤独」とマフフーズのカイロ三部作。ここ40年の受賞者の出身国を示す巻末の世界地図がなかなか興味深かった。2019/06/30

いろは

16
『読まれていないことを前提として』と言われても、やっぱり一番に目が走ったのは、大江健三郎とカズオ・イシグロだった。しばしば、日本の純文学というと、やたらと「思い悩む」系の作者と主人公が多いと言っているけれど、勤勉で真面目な日本人は、日々、内面心理ではいろんな感情が暗闇の中で交差しているのではないだろうか。そして、ときには自己愛で悩んだり、自意識で悩んだりする。作者や主人公が自意識過剰な故に自殺してしまうのも、それほどに作者も主人公もとことん追い詰められるからで、そこにも人間としての究極の美学があると思う。2019/02/23

かんがく

12
80年代以降にノーベル文学賞を受賞した作家を紹介していく本。どのような背景を持っているか、そして著者の専門である文体について引用とともに詳しい解説がされる。文学の楽しみ方が広がった気がするので、とりあえず受賞者の作品を何冊か読んでみようと思った。海外文学をその国のことをよく知らないからと読まないのはもったいないとの著者の主張は同感。2019/01/06

袖崎いたる

8
この人の講義に出たことがあり、たぶんこの本の準備期間だったんだろう、聞いた話と重複するところがあった。いやしかし、おもしろいよ。読み手としては多くに触れているのもあって要所を掴む勘が冴えている。そして読んでると明らかに推しの作家・推しの作品みたいなのも透けて見えるのが楽しい。とくに語りモノとしての文学作品に目を向けている節があるので、物語の内容がどうというより、文体への関心が強い。ざっくりいえばプロット重視はエンタメ作品、文体のユニークさは文学作品、みたいな眼差しがある。前者は膾炙しやすく後者は胸を打つ。2020/12/15

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