出版社内容情報
世界長者番付に名を連ね、IT技術で世界を引っ張り、核実験をも敢行するインド人。未知の新大国の現在を検証した必読のレポート。
内容説明
先進国をしのぐIT産業。11億人の消費パワー。あのアメリカから譲歩を引き出すしたたかな外交―。西欧流の価値観にのみ込まれることなく独自の発展を遂げた新大国・インドの実情を知らずして、激変する世界情勢を語ることはできない。大反響を呼んだNHKスペシャル「インドの衝撃」取材班による渾身のレポートを、完全文庫化。
目次
1 わき上がる頭脳パワー(世界の注目を集めるインド人の頭脳;MITより難関?超エリート大学IIT;ネルーの夢「頭脳立国」;頭脳を武器に成長するインド企業;トタン屋根の予備校)
2 十一億の消費パワー(世界が震撼する「新中間層」の消費パワー;MBA軍団が率いる巨大スーパーの挑戦;地方にも波及する消費革命)
3 台頭する政治大国(アメリカを譲歩させた外交大国;インドvsアメリカ核を巡る攻防;在米インド人、水面下の活躍;そしてアメリカは妥協した;コットンベルトは自殺ベルト;なぜ農村は貧しいままなのか?;成長の足かせとなった農村)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
383
10年と少し前の本だが、今のインドを知るには支障はなさそうだ。間もなく中国を抜いて、世界一の人口を抱えることになるインド。社会はいたるところで激変しつつあるようだ。インドがIT大国であることはよく知られているが、それにしても想像を遥かに超えるスケールである。また人口が人口だけに中間層の台頭もまた凄まじいばかりである。例えばデリー郊外のグルガオンなどは、我々が抱く(インドの人たちにとってさえそうかもしれない)従来のインドとは大きく違っている。そして、そうした階層の間にレトルトカレーが広がっているそうである。2023/05/08
takaC
47
インドとの関わりが長くて深い自分でも未だ免疫不十分な"インドの衝撃"。ただ自分の体験と照らし合わせるとこの本で紹介されていたことは衝撃のある一面でしかないと思われる。2014/12/25
James Hayashi
29
09年著。BRICsに入れられる様に経済成長著しい。超エリート校のIITの学生は、自分の将来のためだけの勉強でなく、国家を背負っていることを自覚している。なんとも頼もしく魅力を感じる。今後は中間所得層が一気に増えるであろう。家の購入から冷蔵庫、クーラー、自家用車。45年ごろには人口でも中国を抜く。中国と違い共産政権でなく、世界最大の民主主義国。とんでもない消費大国が生まれる事だろう。しかし6億人が水不足かつ汚染で健康被害もしくは死亡しているいう。続く→2018/08/07
Willie the Wildcat
23
教育、経済、政治。共通項は、愛国心とは若干異なる”誇り”。頭脳流出から”頭脳還流”への変化が、その象徴に感じる。印象深いのが、”(学生の)尊敬する人”。日本との違いが何を指すのか・・・。次に”人材”ネットワーク。USでのロビー活動が典型だが、IITのAlumniの人材力と、その繋がりの強さ。単なるハングリー精神ではない底力。そこに学ぶ何かがある。共存共栄。切磋琢磨あるのみ!2013/03/17
よしひろ
10
算数を面白くする教育が行われているインド。インド工科大は5000人の定員に対して、30万人が受験する驚異の60倍という倍率。一科目3時間で全て記述式の試験がごく当たり前で、いかに美しく、論理的、独創的に問題を解くかが主眼となっている。これがIT産業に優れた頭脳を供給する源だ。転じて、インドは日本の経済成長にも注目している。日本の教育はどうなっているか?こうしてみると、日本の現場でも特異な教育が行われていると思う。2015/08/21