内容説明
アメリカ人と付き合っているはずだった。結婚してみて大変さが身にしみた。義父はバグダッドでアメリカンスクールに通ったのち、祖国を追われ難民となったユダヤ人。義母はユタ州のモルモン教徒。フランスに留学していたクリスチャンの著者は、結婚を機に、「スイス在住」「クリスマスはイスラエル」「息子はインター」「娘はリセ」「墓参は多磨墓地」と、ごちゃまぜの人生を生きることに。フランスのクロワッサン、旧フランス領ベトナムのフォー、トルコショップの枇杷、イスラエルのファラフェル、東京の蕎麦、ユダヤ系イラク人に伝わる「タビット」、魔法のスパイス「バハラット」。世界各地の香り高い料理の数々にまつわる記憶を描いたエッセイ集。
※本書は、2017年4月27日に配信を開始した単行本「旅に出たナツメヤシ」をレーベル変更した作品です。(内容に変更はありませんのでご注意ください)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
野のこ
31
世界の伝統料理から一風変わったオリジナル料理まであり、世界観が広がりました。食べたことのない物ばかり、スパイスにハーブに複雑な香りは嗅いでみたいです。特に義母のナツメグ香るビーツのケーキが気になりました。それに夜明けの欄の花を想像する妖しい芳香を放つカオニャンにも。夢も希望もわかないご飯が出てきて長坂さんの妄想の後の「人にも お米にも さまざまな運命と旅がある 噛みしめる味 飲み込む言葉 炊きこむ具 混ぜ込む喜怒哀楽」が印象的でした。農家の人が作ったであろうお米、美味しく食べたいです。2017/07/18
むさみか
6
食がテーマなので かろうじて 軽さが出たかな と思うほど 一人一人の人生のバックグラウンドが 見えてくると 噛み締めるように重い クミンやコリアンダーが効いた 魔法のスパイス「バハラット」 ユダヤ系イラク人に伝わる「タビット」など 世のなかには まだ想像がつかない味が それにまつわる郷愁がある 2023/03/08
りょう
2
はじめて読んだエッセイストさん。スイスにすんでいらっしゃるらしいけど、ヨーロッパのあちこちに詳しくておいしいものを人と食べるのが大好きで、お子さんを二人ちゃんと食べさせたきたおかあさんでもある。イヤー!面白い。こーゆー本、大好き!2017/08/26
おかき
0
言葉でしか聞いたことのなかった土地の、見たことも聞いたこともない食べ物や調味料、食文化。馴染みのある食品や、イメージできるシーン、家族や友人の顔、食器や調理器具、どこに対しても感じる食べることに対しての愛。食に対してきちんと向き合っている丁寧な暮らし。羨ましく、背筋が伸びる。2021/04/14
pommepoire
0
最初の方のページから、面白そうな予感。 果たして、食べ物の話から、その料理の作り方はもちろん、文化や背景、作ってくれた人の歴史まで、縦横無尽に話題が伸びます。好奇心旺盛に世界中を巡った著者ならではの視点で、いろんな角度から語られます。2018/08/15
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