内容説明
中国古代の宗教政治思想研究、日本古代史の批判的研究、生活と思想の歴史的関係をダイナミックに記述した大著『文学に現はれたる我が国民思想の研究』などで大きな足跡を遺した津田左右吉(1873-1961)。その代表的な歴史論―歴史観、研究方法論とその観点からの同時代思潮批判を編年順に収録して、その思想を辿る。
目次
学究生活五十年
史論の流行
仏教史家に一言す
芸術と社会
偶言
芸術と国民性
神代史の研究法
流れ行く歴史の動力
陳言套語
歴史の矛盾性
日本上代史の研究に関する二、三の傾向について
東洋文化、東洋思想、東洋史
日本精神について
『支那思想と日本』初版まえがき
日本に於ける支那学の使命
日本歴史の特性
日本歴史の研究に於ける科学的態度
建国の事情と万世一系の思想
歴史の学に於ける「人」の回復
著者等紹介
津田左右吉[ツダソウキチ]
1873~1961(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
3
芸術と社会。Ruskinによると、智識ある社会になればなるほど国民的特性が失われてゆくと、と(41ページ)。これは知識基盤社会の現代には矛盾した事態であろう。「生活は未来に向かって進んでゆくのがその本質である」(96ページ)。そうであれば、未来を奪われては生活できない。今、インフレ誘導で消費増税やTPPの練習をさせられようとしているが、スタグフレーションは必至に思える。「苦悩を経由しつつ新しい生活を開いてゆくところに、生活の進展」(112ページ)。病や被災を経て、ということか。このままだと経済生活は暗礁。2012/12/21
yagian
1
再読。いやあ、実に痛快、痛快。いつも津田先生は率直ですなぁ。2011/05/09