内容説明
安政6(1859)年。明治まであと9年の混乱期。絵師で用心棒の誠之進が暮らすのは陸海運の要衝、品川宿。一筋縄ではいかぬ者どもが跋扈する町。誠之進も隠密という裏の顔を持っている。彼に下された任務は、藩主の肖像を描いた男を追い、お家を狙う敵の正体を探ること。緊迫の剣戟、当代随一の絵師・暁斎との邂逅、人気娼妓・汀との艶めくやり取り。全方位から楽しめる、瞠目の時代小説シリーズが開幕!
目次
第一話 遊里の用心棒
第二話 西国から来た男
第三話 品川有情
第四話 萩にて
第五話 白い鴉
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
onasu
19
安政の大獄の最中、若年寄安藤信正の家臣、津坂家の次男誠之進は不逞の輩の動向を探るため、品川宿に住まい、好きな絵を描いて生計を得たかったが、それは叶わず旅籠の用心棒をしていた。 この期、まだ市井に混乱はみられないものの、尊王攘夷を叫ぶ者から大老周辺の者は狙われており、誠之進らもその端緒をつかみ、ひょんなことから知遇を得た絵師河鍋暁斎の助力もあって、事なきが得られる。 数々の剣劇や萩までの旅、旅籠の娼妓との一夜など読ませどころもたっぷり。時代をしっかり楽しんでこられたので、二巻目も読んでみることとします。2020/11/20
PAO
13
「たかだか一枚や二枚の素人の絵でいったい何人死んだ」…明治まであと9年の安政6年、若年寄安藤信正の家臣津坂家次男誠之進は絵師で品川宿の遊里の用心棒。藩命を受け藩主の肖像を描いた男を追うが…。剣戟や河鍋暁斎との邂逅、娼妓との色話や西への道中など見せ場は豊富です。不逞浪人や逃散百姓たちの欲求不満を道具として利用する構図は昨今の状況にも似て尊王攘夷運動ってポピュリズムだったんだなんて思ってしまいました。「品川の妓は一夜妻になるんです。一夜だけ、身も心も客に尽くす」という女たちの一人だった夕凪の有情が哀れでした。2025/08/19
onasu
13
目当ての本を図書館の棚に見つけると、隣に見覚えのある著者名。こちらも読んでみるか、と開いてみれば中々におもしろく早々に進んで、はて、何を読んだのだっけと、読メを覗いてみれば…。 読み出すと止まらない時代小説の要素満杯で続編も読みたくなったが、3年前のonasu氏によると、それほどでもないよ、とのこと。なるほど。2023/11/29
タツ フカガワ
9
初読みの池寒魚本。時代は勤王/佐幕で混乱する安政期、磐城平藩で江戸定府津坂家の二男誠之進は、品川宿遊里の用心棒の顔も持つ絵師。ある男が公儀若年寄でもある藩主の肖像画と供揃えの絵を持っていたことから暗殺を懸念。誠之進はその男の探索を命じられる。混沌とする時代のなかで苛立つ誠之進の姿は、昔読んでいた探偵小説と重なるところもあってなかなか魅力的でした。2019/04/09
あいちょ。
3
図書館。 誠斎1作目。 2024/03/11
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