内容説明
19世紀中葉、清朝打倒を掲げて中国南部に蜂起、長江下流域に強勢を誇った太平天国。拝上帝教をもとに、漢民族の復興を掲げた指導者・洪秀全は、強力な軍団を組織して清朝勢力を駆逐していった。ところが南京に至り、天京と名づけて都とすると、洪秀全ら上層部は貴族的生活に染まり始める。「なぜ、一気に進撃しなかったのか?」――大陸情勢の視察を命じられた紀州藩士・蜂田十兵衛は、そんな疑問を投げかける。金ピカの宮殿や装束、不毛な権力抗争と粛清の嵐、清朝軍やゴードン将軍率いる常勝軍からの猛攻、無気力なまでに何もしない天王こと洪秀全……戦乱の只中に身を投じながら、蜂田十兵衛は絶頂から転落していく太平天国を目のあたりにする。構想・取材に7年を費やした著者渾身の長編小説。戦記として描かれているが、そこで語られるのは戦う姿勢を失った組織が自壊していく過程であり、太平天国を反面教師とする「勝つ組織」への教訓の書といえる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遊未
5
著者は軍事評論家と認識していたので、小説とは思わずに借りてしまいました。そもそも南京から物語が始まる、つまり太平天国の最盛期から物語が始まります。主人公は紀州藩の武士。兵法(孫子)を学び戦術、戦略OK。シールズかグリーンベレーような戦闘力、その上、経済にも明るい。まさしくスーパー藩士です。楽しい(血生臭いですが)ファンタジーでしょうか。2018/09/20
けじ
1
「!」・「?」の使い方に非常に違和感を感じて、内容に集中できず途中でやめ。2012/06/21
ジャパン
1
気になっていても作品が少ない時代の時代小説はとても助かります。 衰退していく経過はなるほどと思わせてくれますが、隆盛だった分析が少々物足りなかったです。 主人公の設定は面白く楽しめましたが、ちょっと出来過ぎで孫子を読んだだけの幕末武士にあそこまでの采配は…、という感じでした。2012/05/24
上り下り澱
0
太平天国を撃破した曾国藩と李鴻章ら軍閥。清朝を終わらせた袁世凱もその軍閥の系譜です。中国は世が乱れると軍閥がゾロゾロわいてきて、戦国時代になる訳ですが辛亥革命後もそんな感じで軍閥が各地で独立勢力を築いていました。そんな中、うちの国がえっちらおっちら攻めていったんですが、拠点が至る所にある上に攻めてもすぐ逃げてしまうので戦線は拡大する一方。補給も南から外国に頼っているのでそっちも攻めて行ってますます泥沼化していきました。要するに日中戦争は日本と中国の戦争じゃなかったんですね。2014/08/23
ホン
0
読むのにかなり時間がかかった 。浦賀に黒船到来の頃 大陸ではアヘン戦争後の太平天国の乱が勃発 そこを舞台にした日本の紀州藩士の活躍を描いた時代小説であるが主役以外の主だった人物は実名の人物のようだ。いくら優秀な部下が揃っていても 頂点に立つ者が 途中で目標を失ってしまえば組織は崩壊していく典型的な例に思えた。2012/07/05
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