内容説明
街の便利屋さん、社長は実は黒狐でした。
――ちょっと不思議でなかなかハードな便利屋稼業。でも社長は……実は、お狐さま、だったんです……。
大学は卒業したものの就職に失敗して只今絶賛無職中の白石倭香は23歳。自己嫌悪でゆううつなのはもちろんだが、実家住まいなのでずっとこの立場でいるのは少々肩身が狭い。
ある日、大好きだった祖父の遺品整理の手伝いに「こっこ屋」と名乗る便利屋が、倭香の自宅へやってきた。ずいぶんかわいい社名だが、由来は別にかわいくもなんでもなく、同じ名古屋市内の狐坂に事務所を構えているから「黒狐」――つまり「こっこ」のなんでも屋、ということらしい。社長の黒木はすごいイケメンで、まだ若いけれど仕事もできる男だ。ところがわけあって一緒に行動するうちに、倭香はこの黒木のとんでもない秘密を偶然知ってしまう。そこで、秘密を絶対にバラさないという交換条件で「うちで雇ってやる」と黒木は告げ、求職中の倭香はずっと欲しかった「採用」の二文字につられて「こっこ屋」に入ることに。
なぜか人外ばかりの事務所に、たったひとり人間の社員として就職してしまったの勤務状況とは!?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はつばあば
47
ありふれた妖モノの本ですが私の好みでした。人生マニュアル通りに生きてちゃおしまいよ・・って寅さんが言うか、真面目に生きてこそ人生よっておいちゃんおばちゃんが言うか。この本、味があるんですよね。どす黒い今の時代がモワモワ~と行間から出て、妖・黒狐と銀狐が祓う。世界をとりまく様々な情勢や自然破壊が騒がしくなってきた今、AIよりあやかしの方が日本的情緒を感じません?。2019/12/12
はなりん
12
なんでも屋(こっこ屋)社長の黒木(狐)にスカウトされ、なんでも屋で働くことになった倭香。色んな仕事をしていくなかで自分の負の感情に気づき前向きになっていく倭香。こっこ屋の面々も黒木を筆頭に三太と姿は見えないけど常にいるハナコが皆一癖ありのいいキャラで、続編もあるようなので楽しみ!2019/11/03
紅羽
7
就職に失敗し、実家で燻っていた主人公が母親の依頼で祖父の遺品整理にやって来たイケメン便利屋の社長と出会い、その後にその仕事を手伝うようになっていくお仕事ミステリ。持ち込まれる依頼は心当たりのない厭がらせを受ける男性、望まぬ縁結びを絵馬に結ぶ女性等々、そのどれもがどこか知らない間に人を深く傷つけていたというものが多い。導入はありきたりな感じですが、人物が魅力的でまた続きを読みたいと思える作品でした。後、表紙が素敵です。2018/06/25
凍矢
6
自分的には、気に入った作品です。内容としては、ラストの部分で、思わず納得してしまいました。あっさり読めて、清々しい気持ちになれました!イラストも松本テマリさんだったので、自分が選んだ理由に納得しました。2018/09/07
mariann
4
★★★☆☆ 人外物。表紙が好みで購入。 完全なる後半追い上げ型。前半は無理に立たせようとしたキャラや動機が弱いストーリー展開でだらけそうになったのが後半、「えっ?これってフラグやったん⁉️」という思いもよらない回収劇があり、雇われる動機が明確になったりその動機が(私には)好ましかったり‥とどんどん評価が上がっていき、続編も購入しようと決めました🎶 2020/04/19