内容説明
1940年にドイツ占領下のポーランドに生まれたマイケルは、
ゲットーや収容所暮らしを余儀なくされたのち、
わずか4歳でアウシュヴィッツに送られた。
なぜ、子どもが次々に殺されていった収容所で、
彼は6か月も生き延びられたのか?
悪や絶望がうずまく世界の中で、ひたむきに前を向いて
生きたマイケル一族の姿が胸を打つとともに、
家族の絆や、希望を失わずに生きることの大切さを
あらためて教えてくれる良質なノンフィクション。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
里季
82
作者がアウシュビッツの収容所から逃れて出られたのはわずか4歳のことだった。そのころの記憶をもとに娘の手を借りて書物に書き表し、情報が間違って広まるのを食い止めようとした作品。よく4歳でこれだけのことを覚えていたなあと思うが、それだけ経験したことが鮮烈だったのだろう。内容は想像通りのホロコースト。顔をそむけたくなるような描写の数々だった。2018/08/16
ゆかーん
68
「誰かがホロコーストについての嘘を語るなら、その100倍もの声で真実を語ればいいのだ。」と決意したのは、著者であり被害者でもあるマイケル氏。アウシュビッツの悲惨な世界は偽りだという人たちに、真実を知ってもらう為に執筆したそうです。一般的な戦争小説では、アウシュビッツの絶望的な描写で終わることが多いもの…。でも、この本は、捕らえられた後の生活も描かれており、戦後の混乱の状況についても詳細に学ぶことができました。マイケル氏の訴えが一人でも多くの人に届き、こんな悲惨な現実が二度と起きないよう願うばかりです…。2019/02/26
fwhd8325
62
いわゆる世界大戦が、日本の敗戦で終結してから73年。この73年という時間は、真実を歪んだ方向に持って行き、無理な正当性を生んでいる。実際に子供ながらアウシュヴィッツで過ごすことになり、運良く生還した著者は、歪んだ理論には真っ向から立ち向かう姿勢で、経験を語り始めた。よく知るところであるアウシュヴィッツの実態は、何度読んでも恐ろしく、悲しい。著者の経験で注目すべきは、アウシュヴィッツから生還し、戦争が終結したあとにも、悲惨な出来事が続いたと言うことだ。本当に戦争はいやだ。2018/10/27
キムチ
60
内容は既読のホロコーストに連なるが、ここまで詳細に!と感嘆するほど今、見て来たような記述。同時に、ジーウィッシュノ方々の優秀さを感じ入った。どれだけ地球上から知的遺産が抹殺されたのか〜!装丁にある。アウシュビッツの服は昔伊 映画で見たそれを思い出した。謝辞にもあるが記録のもつ遺産的価値を改めて思う。語らねば、伝えなければ埋もれ、人類は幾度でも愚行に走るのは歴史が証明している。中学生の副テキストにして欲しいくらい☆2018/09/04
かめりあうさぎ
54
アウシュヴィッツサバイバーによるノンフィクション。ナチスの非人間的な残虐性について再確認。どうしたらあそこまで墜ちることができるのか理解できません。同じ人間だとは思いたくない。地獄のような状況で当時4歳だった著者が何故生き残れたのか。彼を守るために家族や親戚や回りの人が何をしたのか。もう二度と同じ過ちを人間が繰り返さない為に、歴史を改竄させない為に、過去を語る決心してくれたことに感謝したいです。2019/01/30