内容説明
ラーソン警部の目の前で、監視中のアパートが爆発した。猛火に襲われた人々を救うべく奮闘するも虚しく、建物は焼け落ちた。焼死者の中にはある事件の容疑者が。出動したはずの消防車はなぜこなかったのか?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
358
★★★☆☆ マルティン・ベックシリーズ第5作目。 張り込み中にアパートが爆発し、ラーソンが大活躍する冒頭から面白い。その後もチームメンバーたちのリアルで個性的な捜査が詳細に描かれていて外さない。前作に続いて登場するモンソンが本作のMVP。こんなに能力高いとは思わなかった。 二重の消えた消防車の謎やラストのコルベリのピンチなど飽きさせない展開で悪くはないが、事件の真相自体は予想通りかつ盛り上がりに欠けるのが少し残念。2024/02/20
ケイ
151
ストックホルム警察のマルティン・ベックや他の刑事たち。このシリーズは、他の多くの刑事ミステリと何が違う? 読み捨てになる刑事ミステリは、スリリングな展開に支えられるが、それは1回限りの魔法だからかもしれない。シューヴァル&ヴァールーが描く刑事ものは、書き出しのスリリングさと思わせぶりな所が一番の盛り上がりで、あとは淡々と進む。しかし、たとえ一気に読んだとしても、登場人物達が決してごっちゃにならないほど一人一人が丁寧に描かれているから、そこに物語がうまれて私たちをひきつける。今回も、みんな本当に頑張った。2018/10/30
yumiko
99
年に一度のお楽しみ(だった…)マルティン・ベックシリーズも5作目。監視中のアパートが突然炎上、しかし出動したはずの消防車はなぜか到着しなかった…。ベックの名を残して男が死ぬ冒頭から掴みはバッチリ。ラーソンの大活躍、マルメの刑事モンソンの型破りな捜査も読みどころあり。すっかり忘れていた冒頭の謎が再び浮上した時には、思わず鳥肌が立った。名探偵が一人頭の中で事件を解決するのも勿論面白いけれど、知識と思考を寄せ集め、じわじわと真相に辿り着く群像物がやっぱり好き。創元さん、残りの5冊引き継いでくれないかなあ(TT)2018/09/13
セウテス
95
【刑事マルティン・ベック】シリーズ第5弾〔再読〕。車窃盗の容疑者を見張るラーソン警部の目前で、アパートの部屋が爆発し火災が発生する。炎上する建物から、ラーソンは必死に住人を助け出すが、容疑者は遺体で見つかる。スリリングな展開で物語は始まるのだが、その後は淡々と刑事たちの捜査となる。だが、刑事たちは一人一人細やかに描かれ、各々の物語がそこに生まれ、シリーズという読み応えがある。事件の消えた消防車の謎解きは勿論、もう一つの消えた消防車の謎を描いた構成が何とも魅力。上手くいくばかりではない、そんな現実感も良い。2020/03/08
まふ
93
刑事マルティン・ベックシリーズ第5巻。巷のゴロツキ、売春婦などが集まる館が突然大爆発を起こし、武骨な巨漢刑事グンヴァルド・ラーソンの活躍により何人かが救出される。しかし、その爆発の原因は自殺ではなく他殺によるものではないか、との疑念が生じ、殺人課は捜査を開始する…。第4巻「笑う警官」に比べると迫力度は低いが、お互いを「バカ」などと罵り合い(つつも尊敬しあい)、皮肉、ジョークを連発しつつ懸命に事件解決に向かって努力するその姿には「英国流の気取り」がなく、いかにも「人間的」かつ「自然」であり好感が持てる。2023/04/29
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