内容説明
ソムリエール頼子は黒、料理人美奈は白のタブリエ(エプロン)をつけて働く三十歳目前の女の子。タブリエの色と同じく、性格も正反対のふたりの仕事と恋の物語。
*
すべての客がほぼ同じ時間にやってきて、店内は一時混沌とした。
上着の預かりや席への案内だけでも手を焼き、コックコート姿の遠山に力を借りることになる。
前菜の盛り付けやメインディッシュに沿える野菜の準備、デセールの仕上げ、洗い物、遠山には遠山の仕事がたくさんあるというのに。
「ごめんね」
頼子はおしぼりを運ぶ遠山にすれ違いざまに声を掛ける。
「大丈夫です。ホールの仕事で判断できない時は、頼子さんの目を見て困ってることを知らせて指示を仰ぐようにって、美奈さんが」
(美奈が……)
いつからなのか。美奈は少しずつ頼もしくなっている。
後輩との呼吸があってきたことで作業に余裕が出来たせいか、周りがよく見えている。
ランチメニューを任され自信をつけてきたし、実際料理技術も上げていた。
(私は何か変われるんやろか)
自分を成長させるような出来事が起きるような気がしない。
回る長縄跳びの輪に一人だけリズムが合わずに入れないような焦りが頼子を支配する。
*
〈著者紹介〉
浜野稚子(はまのわかこ)
関西在住の主婦。
「自分だけの切り口を見つけて、普通の人の日常をよりリアルに感じていただけるような物語を書きたいと思います」
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