内容説明
なぜ、ローマは帝国になり得たのか。なぜ、ローマ帝国は滅びたのか。王政から共和政を経て帝政へ、多神教世界帝国から一神教世界帝国へ。古代ローマ史研究の第一人者が、長きにわたって古代を生き延びたローマの歴史とその新しい「読み方」を語り尽くす。建国時の混乱、強敵との戦い、国家の再建、跡継ぎ問題、異民族の侵入、文明の変質……。ありとあらゆることを経験したローマの長い歴史は、現代を考える上での大きな羅針盤となり、混迷する現代を生きる我々に多くの示唆を与えてくれる。ローマ史のみならず、世界史や現代社会の理解をより深めることにも繋がる一冊。 【目次より】1. なぜ、ローマは世界帝国へと発展したのか/2. 勝者の混迷、カエサルという経験/3. 「世界帝国ローマ」の平和と失われた遺風/4. ローマはなぜ滅びたのか 佐藤優氏、推薦! 「ローマ史の中に人間の英知のすべてが詰まっていることがよくわかる。」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きみたけ
88
映画「テルマエ・ロマエ」を思い出しました😂この時代の大浴場には優れた上下水道技術や多くの奴隷が必要で、ローマでも羽振りの良かった期間にしか開設出来なかったそうです。著者は歴史研究家で東大名誉教授の本村凌二先生。王政から共和政を経て帝政へ、多神教から一神教世界帝国へ。長きにわたって古代を生き延びたローマの歴史とその新しい読み方を古代ローマ史研究の第一人者が解説した一冊。建国時の混乱、ライバルたちとの戦い、国家の再建、跡継ぎ問題、異民族の侵入など、ローマの歴史を学ぶことで現代を考えるキッカケになりました。2023/06/25
Book & Travel
60
ロムルスの建国から西ローマ帝国滅亡まで千二百年、ビザンツ帝国滅亡まで二千二百年という長く壮大な古代ローマの歴史をたどり、ローマがなぜ繁栄し滅びたかに迫った一冊。コンパクトにまとめられながら、歴史のダイナミズムが感じられて面白かった。共和制、帝政、軍人政権と変遷する中で、戦乱、異民族の流入、経済の停滞、インフラの老朽化などを経験し、当初持っていた異民族や宗教への寛容さを次第に失っていくのは、現代の我々に繋がるようだ。元々好きだった世界史だが、学生の頃、世界史の授業で感じたワクワク感を思い出した一冊だった。2019/01/28
ひろき@巨人の肩
53
Audiobookにて。ローマ史に興味があるが、ローマ人の物語に踏み切れず、まず本書に挑戦。ローマの栄枯盛衰から現代史の類似性が見えて面白かった。王政・ロームルス、共和制・カエサル、帝政・オクタヴィアヌス、五賢帝・トラヤヌス、軍人皇帝時代・ディオクレティヌス、東西帝国分裂・コンスタンティヌスとローマ1200年史の流れと要人を確認できた。学びは3点。ローマ人の寛容さと信仰深さが帝国拡大の原動力。奴隷制のイノベーションに対する弊害。多神教主体の古代における一神教の特異性。次はローマ人の物語に挑戦したい。2019/04/01
まさにい
42
木村さんは、ローマ滅亡の一つの理由として寛容性の変質を上げている。滅亡の理由に寛容性という言葉をあてはめた書物は高坂正堯氏の『文明が滅亡するとき』を読んで以来であった。高坂氏の寛容はその内容が今思うと書かれていなかったが、本書で、寛容性の内容が書かれている。ローマがキリスト教を受け入れた理由も何となく理解できた。今世界で一番寛容な国家はオランダでると司馬さんは語っていた。個々人の自由を前提とした寛容性とは何なのか。これは難しい問題であるが、絶えず頭の片隅に置いておく課題としていこうと思う。2018/05/13
かんやん
34
ローマ建国(前753)から共和制への移行(前509)、カエサルを経て、オクタウィアヌスの皇帝就任(前27)、それから五賢帝によるパクス・ロマーナあたりまで、興味深く読める。それにしても、早くも三代目カリグラ暗殺、四代目クラウディウス毒殺、五代目ネロ自殺とは。五賢帝の後は、もう暗殺に継ぐ暗殺。色んな殺され方があるものだ。235年からの軍人皇帝時代は、50年に70人、元老院が認めたのは26人、平均在位期間3年、その内24人が暗殺又は戦死。ゆく川の流れが如く、かつ消えかつ結びて、もはや誰が誰やら。2020/10/27
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