内容説明
順調にメガバンクの出世コースを歩んできた樫村徹夫は、送別会の帰り道「あんたの人生、七味とうがらし」と、辻占師に不吉で不可解な言葉をかけられる。深みある人生にするか、辛すぎて酷い味になるかは自分次第。吸収合併を機に、飲食店チェーンのCFOに抜擢された樫村は、綻びだらけの企業を再建できるのか?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あすなろ
84
江上氏の手練れ分野の良作だなと思った。副題は再生請負人。現場百遍・自ら交渉する等、確かに経験者としてそれをやらなくては再生などあり得ない。そして企業の1番の財産はヒトだと言うのが僕の持論であるが、このエンジン回転数によるのである。そして誠実さ。その辺りを爽やかにリズミカルに手練れの筆で描いている。改題前の作品名は人生に七味あり、か。改題繰り返すのは理由あれど一定の商業主義が見え隠れするから嫌なのだが、その七味は深みある辛味という意味で用いられる。一直線の辛味だけでは人生はない。うん、分かるなぁ2019/10/27
PEN-F
40
うらみ、つらみ、ねたみ、そねみ、いやみ、ひがみ、やっかみ…. 人生、七味とうがらしとはうまいこと言いますね。そねみの意味がちょっとよく分からんが、会社も人生も崖っぷちからにチャンスあり。2022/03/28
panashe
23
江上剛さん初読み。合併した銀行を退職し、飲食チェーン店の再生にかけた主人公。池井戸作品?と思うような展開。面白かった! ドラマも楽しみ〜(o^^o)2018/07/02
Syo
21
う〜む 爽快感は…2022/12/16
まつうら
20
主人公の樫村は、銀行を辞めて事業再生家になって活躍する。銀行を辞めた事業再生家といえば、「ハゲタカ」の芝野がそうだ。芝野はもともと企業再建を目指していたが、樫村はたまたま知り合いから声がかかって再建を手掛けることになった。しかし、樫村も芝野に負けないくらいアツい男だ。 ただ、樫村は美人に弱いところはあって、これが物語のちょっとしたスパイスになっている。でも本作はそれ以上に、うらみ、つらみ、ねたみ、そねみ、いやみ、ひがみ、やっかみ、という七味とうがらしに蘊蓄があり、とてもいい味を出している。