岩波文庫<br> アリストテレス ニコマコス倫理学 下

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岩波文庫
アリストテレス ニコマコス倫理学 下

  • 著者名:高田三郎
  • 価格 ¥1,056(本体¥960)
  • 岩波書店(2018/04発売)
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  • ISBN:9784003360422
  • NDC分類:131.4

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内容説明

古代ギリシアにおいて初めて倫理学を確立した名著.万人が人生の究極の目的として求めるものは「幸福」即ち「よく生きること」であると規定し,このあいまいな概念を精緻な分析で闡明する.これは当時の都市国家市民を対象に述べられたものであるが,ルネサンス以後,西洋の思想,学問,人間形成に重大な影響を及ぼした.

目次

目  次

 第 七 巻

 第 一 章 悪徳・無抑制・獣的状態。ならびにその反対のもの。抑制と無抑制とに関するもろもろの通説

 第 二 章 これらの見解に含まれている困難。以下かかる難点が解きほぐされなくてはならない

 第 三 章 抑制力のないひとは知りつつあしきことをなすのだとすれば、この場合の「知りつつ」とはどのようなことを意味するか

 第 四 章 無抑制は如何なる領域にわたるか。本来的な意味における無抑制と、類似的な意味における無抑制

 第 五 章 獣的なまたは病的な性質の無抑制は、厳密な意味で無抑制とはいえない

 第 六 章 憤激についての無抑制は、本来的な意味における無抑制ほど醜悪ではない

 第 七 章 「我慢強さ」と「我慢なさ」との、抑制ならびに無抑制に対する関係。無抑制の二種──「せっかち」とだらしなさ

 第 八 章 無抑制と悪徳(=放埒)との区別

 第 九 章 抑制・無抑制に似て非なるもの。抑制も一つの中庸といえる

 第 十 章 怜悧は無抑制と相容れても、知慮は無抑制と相容れない

 第十一章 快楽の究明の必要。快楽は善でないという三説とその論拠

 第十二章 右についての全面的な検討

 第十三章 つづき

 第十四章 つづき

 第 八 巻

 第 一 章 愛の不可欠性とうるわしさ。愛に関する疑義若干

 第 二 章 愛の種類は一つではない。その種別は「愛さるべきもの」の種類いかんから明らかになる。「愛さるべきもの」の三種──善きもの・快適なもの・有用なもの

 第 三 章 愛にもしたがって三種ある。だが「善」のための愛が最も充分な意味における愛である

 第 四 章 「善」のための愛とそれ以外の愛との比較

 第 五 章 愛の場合における「状態」と「活動」と「情念」と

 第 六 章 三種の愛の間における種々の関係

 第 七 章 優者と劣者との間の愛においては愛情の補足によって優劣の差が補われなくてはならない

 第 八 章 愛においては「愛される」よりも「愛する」ことが本質的である

 第 九 章 愛と正義との並行性。したがってあらゆる共同体においてそれぞれ各員のあいだに一定の愛が見出される。共同体の最も優位的なものは国家共同体である

 第 十 章 国制の種類と、そこから家庭関係への類比

 第十一章 右に応ずるもろもろの愛の形態。愛と正義とは各種の共同関係において、それぞれその及ぶところの限度が並行的である

 第十二章 種々の血族的愛。夫婦間の愛

 第十三章 各種の愛において生じうべき苦情への対策として、如何にして相互の給付の均等性を保証するか (a) 同種の動機による均等的な友の間において

 第十四章 (b)優者と劣者との間において

 第 九 巻

 第 一 章 (c)動機を異にする友の間において

 第 二 章 父親にはすべてを配すべきか

 第 三 章 愛の関係の断絶に関する諸問題

 第 四 章 愛の諸特性は最も明らかに自愛において見られる

 第 五 章 愛と好意

 第 六 章 愛と協和

 第 七 章 施善者が被施善者を愛することは後者が前者を愛する以上であるのは何故か

 第 八 章 自愛は不可であるか

 第 九 章 幸福なひとは友を要するか

 第 十 章 友たるべきひとの数には制限があるか

 第十一章 順境と逆境と何れにおいてより多く友を要するか

 第十二章 「生を共にする」ということの愛における重要性

 第 十 巻

 第 一 章 快楽を論ずる必要。快楽の善悪に関する正反対の両説。その検討の必要

 第 二 章 快楽は善であるとするエウドクソスの説。(その制約。) エウドクソスに対する駁論の検討

 第 三 章 快楽は善ではないとする説。それについての検討

 第 四 章 快楽とは何か

 第 五 章 快楽にはいろいろの快楽がある、──活動にもいろいろあるごとく。では何が人間の快楽であるか。それは何が人間の活動であるかというところから明らかになるであろう

 第 六 章 究極目的とされた「幸福」とは何か。それは何らか即自的に望ましい活動でなくてはならぬ。だが快楽が「幸福」を構成はしない。「幸福」とは卓越性に即しての活動である

 第 七 章 究極的な幸福は観照的な活動に存する。だがかかる純粋な生活は超人間的である

 第 八 章 人間的な幸福は倫理的な実践をも含めた合成的な「よき活動」に存する

 第 九 章 倫理的卓越性に対するよき習慣づけの重要性。よき習慣づけのためには法律による知慮的にして権力ある国家社会的な指導が必要である。立法者的能力の必要。立法の問題は未開拓の分野である。われわれは特に、国制に関して全面的に論ずるであろう
   解  説
   文献略称
   あとがき
   索  引
   用語索引
   固有名称索引
   訳  注

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

マエダ

83
「善」「最高善」とは何かが本書のテーマであり、アリストテレスは人生における種々雑多な望ましきもの、「善」に秩序をつけて、それを「学」の名の値する水準まで高めるべき明晰な思考への手引きしている。上の方が読み応えあり。2016/03/11

syaori

64
下巻では、卓越性(徳)に準ずるものである愛と快楽について考察し、本書の目的だった幸福を概観する作業に入ります。そして幸福な生活とは卓越性に即した生活であり、そのなかでも最善のものは智慧に即した自足的な、観照的生活だと示します。しかしそのような生活は「人間の水準を超えた」ものであることも指摘し、倫理的徳のような多数の人々と「生を共にする」ための徳が人間的な卓越性であるとも語ります。アリストテレスでは人間は社会に生きる動物で、生は希求されるものとして肯定されていて、こちらにも生きる喜びが満ちてくるようでした。2021/07/06

イプシロン

42
個人的な政治の定義が、非常に浅はかで先入観が濃いものだったという気づきを得る強烈な読書体験となった。その点を軸にして、本著で語られている内容を(私的解釈を加味して)簡単に記してみたい。政治の目的は一人でも多くの人を観照的生活に導くことである。その理由は観照的生活によって得られる幸福は自足的で他者を必要としない最高度なものであるから。したがって、政治は一人でも多くの人が観照的生活に到達することを援助することを目的とする。よって理想の政治家は、真・善・美とはいかなるものかを知悉し理解している人であること。2021/12/10

おせきはん

26
愛や快楽、幸福など人間の感情の根本を掘り下げています。全般的に私にとっては難解で、一回、読んだだけでは全体像を把握するには至りませんでしたが、善悪の本質を突いた鋭い指摘も多くありました。2021/01/22

Bashlier

24
5/5 下巻の主張は3点。”愛は互いに与え合う量が釣り合っていることが大事。過不足があると持続しない”、”ほどほどの地位で麗しい行いをする智者が最も幸福な存在”、”同程度の卓越性・地位・財産を持った人同士でのみ本物の友情は生まれる”という均等性を重視したものです。また、物質的なものを追い過ぎると”平和のための戦争”、”余暇のための忙殺”などの矛盾に苦しむことになると警告。まるで現代への予言のよう。類まれなる知性はどこまでを時を超えていくのだと、自然と頭が下がる著作でした。出会えてよかったです。2023/03/30

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