中公文庫<br> 蓮の数式

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中公文庫
蓮の数式

  • 著者名:遠田潤子【著】
  • 価格 ¥792(本体¥720)
  • 中央公論新社(2018/02発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784122065154

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内容説明

35歳の千穂は不妊治療を始めて10年、夫と義母からの嫌味に耐え続けてきた。ある日、夫が酒に酔った男・透を轢いてしまう。謝罪のため透を探す千穂は彼が算数障害だと気付き手を差し伸べる。だが、二人の関係を怪しみ千穂を追い詰める夫。一方的に疑われ、これまで抑えてきた感情を爆発させた千穂は、家を飛び出し透の元へ逃げるのだった――。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

三代目 びあだいまおう

298
人生という名の舞台に開幕から閉幕までずっと立ち続けるのは他ならぬ自分自身。途中何人もの登場人物が台詞を述べ演出家が助言しても、舞台上で起こるハプニングや選択に対処するのは自分自身。人生で最も重要な『自分で選択すべき選択権』を他人の呪縛により放棄させられ、不幸の抜け道を探しながら一層の不幸へ落ち行く主人公達。自分の立つ舞台がぬかるむ泥沼で抜け出せずにもがき苦しむ!著者は訴える!過剰な善意は時に人を大きく傷つける!しかし当人は善意のつもりだから相手を傷つけてる事に気付かない!善意という名の刃を知れと‼️🙇 2019/05/14

相田うえお

145
★★★★☆18040 登場する人物設定が強烈過ぎて、その行動や発言に嫌悪感を抱いてしまうのですが、いつもの独特な雰囲気に呑まれていつのまにか引き込まれてしまいました。この作品のぶっ飛び度も相当なものです。内容を簡単にいえば、夫と義母の陰湿さに耐えかねた女性(珠算講師)が、あるきっかけで知り合った男(算数障害)と逃避行...なんですけど、でもそんな単純ではありません。人格が極端にひずみ過ぎているのです。終章は「まじかぁ〜」と唸ってしまいました。全く共感できない内容なんですがプチオススメだったりします。2018/05/23

H!deking

92
遠田さんのこの息苦しさ、癖になるな(笑)2020/08/30

アッシュ姉

91
愛を知らない男と愛を忘れた女。孤独な二人が引き寄せられるように出会い、危うい逃避行が始まる。重苦しい寂寥感がどこまでもつきまとい、絶望しか予感させない道のりに祈り見守ることしかできない。二人をめぐる人たちも暗い過去と消せない悔恨を抱えて生きている。果てしなく続く負の連鎖。誰がいつ間違えたのか、どうすればよかったのか。時間を巻き戻しても答えは見つからず、救いを求めて彷徨う。ひりひりと疲弊するのに止められない遠田劇場ここにあり。2018/04/19

まこみん

83
13年に渡り婚家から虐げられてきた千穂は、夫が運転する車で高山透を怪我させ、夫の身代わりにさせられる。透は算数障害で、それを悟った珠算教師の千穂は個人授業をするが、夫に見付かり逃亡の際、義母を殺してしまう。透と千穂は逃避行、彼の祖母の元へ。安住するかと思えたが祖母をも殺害してしまう。又、蓮農家の賢二は12年前に妻をアパート火災で亡くし、その時死んだ筈の麗をTVで偶然見かけ、探し出そうとする。登場人物誰にも共感持てない中で、結末を知りたくて後半から一気に読了。帯に「熱量がすごい!」とあったがその通りだった。2019/11/26

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