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内容説明
経済発展は、格差の歴史
人類に“持続的な富の増大をもたらした4条件に迫る!
なぜ、我々は豊かな生活を享受できるようになったか? そしてなぜ、豊かさの誕生は1800年代以降に限られているのだろうか? 近現代に持続的な経済成長をもたらした「繁栄の4条件」を、膨大な資料と、法律、歴史、哲学、天体力学、神学、政策科学、社会学、経済学の観点から探っていく。
●条件1 私有財産権。具体的な財産に関してのみならず、知的所有権や、自分自身の身体についても、市民の自由として確立されていなくてはならない
●条件2 世界を精査・解釈する体系的な手順としての科学的合理主義の確立
●条件3 新製品の開発や製造に対して幅広く誰でもが投資できるような近代的資本市場の成立
●条件4 大切な情報をすばやくやりとりできる通信手段と、人や物を迅速に運べる輸送手段
格差や不平等を決定づける「豊かさ」の歴史を明快に分析した骨太の大作を文庫化。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
142
ビジネスの経済史です。上巻の第1部では「近代経済成長の源泉」が語られます。下巻では「豊かな国、貧しい国」「豊かさのもたらすもの」が主題です。第1部で経済成長に不可欠な4つの制度について述べられています。「私有財産制度」「科学的合理主義の確立」「近代的資本市場の成立」「通信手段、輸送手段」です。非常に興味深く読みました。ジャレド・ダイアモンドやポール・ジョンソンでは少し足りないということで書かれたようです。2016/12/13
アナクマ
41
繁栄の決め手は物質的インフラや天然資源ではない。それは、①私有財産権 ②科学的合理主義 ③資本市場 ④通信・輸送手段の確立だ、という本。◉1部3章_「人間は恐怖に立ち向かうために信仰を作り上げた」。400年前までは、地球を中心として天が動いている事に対する探究と異論は許されなかった。しかし、コペルニクスが先んじ、なんやかやあって、ハレーの彗星予測が「帰納法の勝利を知らせるとどめの一撃」に。なお、最初に科学者を駆使した産業は19世紀の製鉄業/カーネギーだったという。モノゴト、変わる時には変わるのである。→2022/01/02
1.3manen
26
04年初出。19C初頭に合流し、近代世界に経済成長をもたらした文化と歴史の潮流を解明する書(6頁)。一国の生活水準は、人口に反比例(36頁)。ノーベル経済学賞のD.ノースは農業の誕生を最初の経済革命と称した(1977年90頁)。国家が長期繁栄を実現できるかは、経済機会を大衆に与えることにかかる。農業経済では、農地所有しかなかった(私有財産制115頁)。E.コークの洞察で重要なのは、市民は王権、議会から守られなくてはならないということ(138頁)。2015/07/09
isao_key
9
著者は、「はじめに」で「本書の目指しているものは、19世紀の初頭に合流し、その後の近代世界に飛躍的な経済成長をもたらした文化と歴史の諸潮流を明らかにすることだ」と述べている。18世紀までは、最良の頭脳を備えた若者たちが直面したのは、教科と言えばキリスト教の教義か修辞学的論理学だった。19世紀後半に蒸気機関が大量の商品と人間を大洋を超えて運ぶようになって「グローバルな経済」に向かっての大きな一歩が踏み出された。蒸気船が旅行のスピードと快適さをわずかばかり改善したのに対して、鉄道は旅行の本質を一変させた。2017/03/06
あんぽんたん
5
「豊かさ」の必要条件となる4本の柱について詳述する。それらはどれか1つが「豊かさ」の十分条件になるのではなく、4本揃って初めて「豊かさ」を生み出すことができるものである。現代日本ではその存在が当たり前と思われる4本柱は、近年までそのような概念が世界中になかったこと驚く。中世・近代の人々の労働に対する考え、ひいてはそれが「豊かさ」に結びつかない理由の記述が非常にわかりやすい。また、「豊かさ」を生み出し始めた19世紀こそが最も技術革新を起こした時代という筆者の視点が新しく、その点でも興味深かった2022/02/21
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