内容説明
アメリカの大統領にドナルド・トランプ氏が就任し、世界は大激変しています。核実験やミサイル発射を繰り返し、緊迫化する北朝鮮情勢。イスラム国が無くなっても、増え続ける国際紛争の火種。サウジアラビアとイランの対立が激化し、第五次中東戦争の勃発リスクの高まり。イラクから独立したがっているクルド人とは? ノーベル平和賞受賞者でミャンマーの事実上の国家元首のアウンサウンスーチー氏が国際社会から批判されるロヒンギャ難民問題とは。スペインのカタルーニャ州の独立の動き。イギリスのEU離脱で、スコットランドや北アイルランドで高まる独立の声。世界のリーダー、ドイツのメルケル首相を悩ます難民問題。そして、建国の父の毛沢東並みの権力を握ったとされる中国の習近平国家主席の「一帯一路」(陸と海に新たなシルクロード)構想の野望とは……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hiro
60
図書館で予約していたこの本が米朝首脳会談の直前のタイミングで読めて良かった。「毎日小学生新聞」の連載記事を元にしているので少し物足りなさはあったが、いつも通り池上さんの本は読みやすく、わかりやすい。1章は「トランプ大統領誕生で激変した世界。」その後、北朝鮮情勢、アメリカ、中東、欧州、中国、アジア、日本と続き、今の世界の政治情勢がよくわかる。この本のおかげで、G7サミットでトランプ大統領の前の机に手をついて詰め寄るメルケル独首相の写真をみて、世界の政治情勢の一端がみえた気がした。2018/06/11
James Hayashi
36
中東の現状は把握しておらず、理解しやすい。トランプによるエルサレムへの米国大使館移転、イラン敵対政策など対立は深まり混沌としている。マスコミは北朝鮮を中心に世界情勢を伝えている様だが、中東は要注意。ジンバブエのムガベ大統領の名は知っていたが、ニュースになっていたのは知らず。日米ともアフリカとは距離があるし、あまり興味もない。しかし存在する資源を考えるとアンテナは張っておくべき。小学生新聞の記事に加筆修正したもので解りやすい。しかしこんな話題を小学生が読んでいるのだろうかと気になった。2018/05/22
hk
21
まさに目まぐるしく変わる中東情勢。ひと昔前までは「米民主党政権は親イスラエル、共和党政権は反イスラエル」という紋切り型がある程度通用していたが、オバマそしてトランプの時代にはまったくもって適応していない。トランプがイランから再度距離を置くスタンスをとりユダヤ教徒に媚びたため、サウジは湾岸ミニ国家を糾合して反イランの盟主として振る舞う。だが国民の多くがシーア派のカタールはサウジと袂をわかちイランにすり寄っていく。……といった風情ですこぶるややこしい。国際社会の動向をざっくりと眺めるのにお誂え向きの一冊だ。2018/02/28
アキ
13
さすが池上彰氏、2017年の世界情勢を基本的なことからひも解いている。トランプ大統領自体が最大の事件だったが、アメリカの存在感が低下し、中国がプレゼンスを示した年でもある。借金のかたにスリランカの港湾施設の使用権を得たり、アフリカ・ジブチに海軍基地を作ったり、隣国として中国から目が離せない。また中東は、ISと対峙したクルド人の独立問題もあり、宗教と民族がからんでいてもつれた糸をほどく術は今のところない。アメリカがイスラエル・エルサレムに大使館を移すことで更に拍車をかけている。今後も地政学が重要になる。2018/03/09
チャーリー
11
グローバル化が進み、世界がボーダーレスに向かう試みの中で、国民国家という地盤のぶつかり合いによって今までない問題も起きていることが分かりました。 大国の思惑もあるし、この先どうなるか分からないけど、日本としてのスタンスはハッキリさせないとマズイと思います。2018/05/06