内容説明
本巻はこれまで洋学史研究の空白であった幕末洋学史の研究で、近代西洋諸学術、とくに人文・社会諸科学の導入の問題を中心とした論考である。西周、津田真道等の和蘭留学の業績の精密な文献の調査、また長崎、鹿児島その他の幕末の地方洋学の研究など、いずれも著者ならではの手堅い手法でその様相を鮮やかに解明する。
目次
1 シーボルトとわが学界
2 大槻玄幹の「蘭園日渉」から―「漂客新話序説」と「蘭学先輩ノ系図」
3 宇田川榕菴稿本「和蘭志略」に見ゆる文学記事―和蘭の詩の漢訳その他
4 海舟勝麟太郎と蘭学―勝と蕃書調所の創設
5 官学者・幕吏としての箕作阮甫―江戸期旧蘭学から幕末新洋学へ
6 幕末の和蘭留学生―とくに西周・津田真道の5科学習について
7 幕末における日蘭文化交渉が近代日本の形成に与えた寄与―とくに津田真道の業績を中心にして
8 津田真道の著作について
9 中村敬宇の初期洋学思想と『西国立志編』の訳述および刊行について
10 幕末の薩摩藩立開成所に関する新史料―薩摩藩の「一藩割拠」主義政策の一環
11 五代友厚の欧行と彼の滞欧手記「廻国日記」について
12 幕末の長崎と上野景範―長崎と薩摩の英学文化交渉史断片
13 幕末英学史上における何礼之―とくに何礼之塾と鹿児島英学との交流
14 八王子の蘭学者秋山義方父子―故鈴木龍二氏の思い出
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- 和書
- 中国初期禅思想の形成