内容説明
静かなる野、モーヌップの大地。エミシの民を苦しめるウェイサンペの苛政に憤りを覚えた青年マサリキンは、一目で恋に落ちたチキランケを女奴隷となる運命から救うため、馬で逃亡を試みた。しかしその最中に敵将の愛息を殺し、追われる身となってしまう。マサリキンとはぐれたチキランケは、鎮所に連行されたが、按察使の寵愛を拒み、深く自分に閉じこもった。追っ手をかわしながら鎮所に近付いたマサリキンだが、叛徒としてウェイサンペの手下に捕らえられ、過酷な責め苦を負うことに。二人の愛に気付いた陰陽師は、チキランケに凶兆が現れていると按察使に忠告、マサリキンは処刑場に連行されるが、そこに叛乱軍ヌペックコルクルが現れマサリキンを奪還した! 怒濤の展開、圧巻の歴史ファンタジー!
※本書は、2016年12月26日に配信を開始した単行本「ホルケウ英雄伝 この国のいと小さき者 下」をレーベル変更した作品です。(内容に変更はありませんのでご注意ください)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ASnowyHeron
25
エミシへの侵略者として、過酷な為政家として、古代の王族の様子がよく描かれていた。人の世界の理不尽さに心が苦しくもなる作品だった。2017/03/17
マッピー
12
東北から北海道に開拓に来た割と近いご先祖様を持つ私には面白かったけど、北海道や東北になじみのない人に、この作品は伝わるのだろうか。勝者の書く歴史が全くの事実とは限らないように、敗者の書く歴史が本当の真実とも限らない。 それでもどうしても書きたいことがこの作品の中にあるのだろう。多分それはエミシ対ウェイサンペの戦いであり、エミシの生活や風俗だと思うんだけど。全体的にまんべんなく書こうとするから、テーマが散漫になっている気がした。テーマは面白かった。文章・構成はもう少し。エミシにアイヌ語を語らせる事に違和感。2019/02/19
よい
2
★★★★☆2017/10/15
ni445
2
下巻はさくさくっと読了。壮大。2017/02/07
湖宮
0
純粋に人を慈しみ愛する素晴らしさを教えてくれる一冊。ケセン語を多数引用し読みにくさは否めないが、作者(医者)の根底にある蝦夷を愛する想いそして誇りをひしひしと感じるファンタジー小説。2017/05/12