光文社新書<br> 美術の力~表現の原点を辿る~

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光文社新書
美術の力~表現の原点を辿る~

  • 著者名:宮下規久朗
  • 価格 ¥1,078(本体¥980)
  • 光文社(2018/01発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784334043315

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内容説明

私は30年以上にわたって毎年のように西洋の美術作品を巡って歩いてきたが、美術作品も、それが位置する場所の力と相まってオーラをまとうようである。(中略)無数の眼差しが注がれてきた美術作品は、巡礼者の信仰を吸収した聖遺物と同じく、膨大な人々の情熱と歴史を宿し、あるべき場所で輝きを放っているのである(「まえがき」より)。イスラエルで訪ね歩いたキリストの事蹟から津軽の供養人形まで、本質を見つめ続けた全35編。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

れみ

72
絵画や彫刻などの芸術には生み出される過程にある歴史や宗教などの背景、見る側はどう見てどう感じるのか…ということについての文章をまとめた本。日本と西洋の美術についてそれぞれまとめられていて、その最後が津軽の供養人形についてで、なぜこのテーマなんだろう?と疑問に思ったんだけど、その答えがあとがきに書かれていた。 「もはや心から感動できることはない」とか「仕事だと割り切って惰性で美術史という学問に携わっているにすぎない」とおっしゃっているけどそんななかでも心を動かす何かに出会いたいと思っているのでは…と感じた。2018/07/07

ハイランド

72
美術と信仰の関係、本流とは異なる部分の美術について述べられた一冊。「人類のあらゆる芸術の源は宗教である」この一文こそが、筆者の歩んできた人生の集約、研究の到達点ではなかろうか。キリスト教と西洋美術。個人的に心惹かれている孤高の画家高島野十郎、戦争画を描き非難され日本を離れた藤田嗣治、死刑囚の描いた絵、死者の供養のための人形、キリシタン弾圧にまつわる美術等々、美術史の本流からは外れた美を取り上げ、様々な美術の形とその力を紹介している。重い一冊であるが、一般人としては、美術をもう少し軽く楽しみたくもある。2018/07/03

ハイランド

71
最後まで再読と気づかずに読了。1年半の時を経て改めて新鮮に楽しめた。宗教と美術の濃密な関係性について考えさせられたとともにアドルフ・ヴェルフリや高島野十郎のように名声や金銭のためではなく、唯描きたいがために描く。それは祈りに似た行為であり、絵を描く行為というのは、突き詰めればそれは祈りなのかもしれない。特定の宗教に帰依しているわけではないが、祈るという行為自体は人間の心の本質の一つなのだと思う。同時に、祈りを届けるためには人智を尽くすことが大前提なのだろう。私達が美術に触れることも祈りなのかもしれない。2019/11/04

nobi

71
新聞への連載、雑誌等への投稿をベースとして書下ろしを加えた書。傷心抱えた筆者が“かろうじて興味を引いた美術”について綴る。そこに立ち現れるのは“美術鑑賞の対象”である前に“真摯な祈り”の集積であり“美術を生み出す原動力”。特に「信仰と美術」「美術の原点」には死を見つめる美術が多い。来迎図、審判図、藤田嗣治等の戦争絵画、死刑囚の絵画、夥しいエクス・ヴォート…。「美術の力」「表現行為の本質」とは?筆者自身にとっての問いであるが故に切実。現代は失いかけている“瞑想”と“場の力(ゲニウス・ロキ)”の大切さも力説。2019/10/20

ホークス

44
2018年刊。美術の様々な在り方を提示し、美術とは何かを考える。カラー図版多数。西洋美術における古典は、その時の人気でコロコロ変わる。日本人は遊びや楽しみの対象も、古くなれば美術として観た。宗教改革では廃仏毀釈と同じく多くの作品が破壊された。理屈に合わない事は沢山あり、必ず正しい鑑賞法は無い。歴史と文化の学びを著者は勧める。音楽など芸術全般、人間の行い全てへの対し方とも言える。ただ、オリジナルな感性と学びのバランスは個人のもの。自由あっての美術だと思う。著者は一人娘を亡くされてから文章が暗い。痛ましい事だ2021/04/05

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